28歳「発達障害」の彼が3度仕事辞めて移る先 家業を継ぐが「影響力を持つ人間になりたい」

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「あと、『いつも眠そうにしている』とバイト先の人から注意を受けたことがあります。あくびもしょっちゅう出てしまいますし、眠りの質も浅いみたいで、1日12時間は寝ないと調子が良くならないんです」(加藤さん)

以前、本連載で取り上げた三浦さん(2018年1月13日配信「29歳、有名私大卒の彼女がADHDで抱える苦悩」の記事でもお伝えしたが、ADHDの人は睡眠障害を併発している場合が多い。加藤さんも二次障害として睡眠障害を併発している可能性がありそうだ。

ようやく就職するも仕事を覚えられず失敗続き

就活にも苦労し、内定がないまま卒業となった。そして、その年の夏にIT企業に受かり入社。その会社は障害者を積極的に採用している会社だったので「ここなら大丈夫だ」と思っていたが、入社時にはADHDだということを伝えていなかった。

しかし、業務中に眠そうにしていたことから上司に呼び出される。その際にADHDであることを伝えたところ、何も問題視はされなかったが、大学では文系の勉強しかしてこなかったため技術面でついていけず辞めてしまった。

2社目に入った会社は今でもトラウマだと語る。

「2社目もIT企業だったのですが、とにかく仕事が覚えられなくて案件を外されてしまいました。そのタイミングで『実はADHDなんです』と告白したら、入社時の契約書に『業務に差し障りのある疾病を持っていない』という項目にサインをしていたことが虚偽にあたると言われてしまいました。

『場合によっては解雇にするけど、それはかわいそうなので正社員ではなく契約社員という形にするのはどうか』と持ちかけられましたが、契約社員だと給料が下がり安定もしていません。世の中はなんて理不尽なんだろうと恨みました。僕だって好きで障害を持っているわけではありません。会社としては、リスクマネジメントの意味で合理的だというのもわかります。でも、障害者という扱いを受けて『使えないのなら仕方ない』と切り捨てられるのはやっぱり悔しいです」(加藤さん)

3社目も今までの経験上IT業界へ。自由な社風だったが、やはり仕事が覚えられなかったり、指示された意図を誤って受け取ってしまったりすることが続いた。最初のうちは「仕方ないな」という目で見られていたが、ミスが続くにつれて次第に信頼されなくなってしまった。

「職場の人から『無愛想』『冷たい』などと言われ、浮いてしまってコミュニケーションもうまく取れません。ここでうつ病になってしまい、昨年の2月頃、半年ほど休職しました。そして、昨年の夏に復帰したのですが、やはり仕事がうまくできずにうつが再発。昨年12月に会社側の判断で休職という形になりました。

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