節目は12月?米金融緩和縮小のタイミング 市場関係者が肩透かしを食らった9月の「現状維持」

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セントルイス連銀のブラード総裁は、テレビインタビューで「(18日の金融政策決定会合は)ぎりぎりの決断だった」と述べている。また経済指標の結果がよければ、10月の会合で緩和縮小もありうることを示唆した。

1カ月で経済状況の大幅改善は見込みにくい

しかし、「今後の緩和縮小について、バーナンキ議長は、労働市場の改善に加えて、金利上昇の影響や財政の不透明性を挙げている。9月から1カ月でそれらが大きく改善することは考えにくい」(井上氏)。経済状況の改善を見極めるうえでは、一定の期間が必要と考えられることから、12月17、18日のFOMCが節目と見る向きは少なくない。ただ、そうした予想も今後の経済指標や財政問題次第といえそうだ。

ブラード総裁が10月でも緩和縮小はあり得ると示唆したことについて、「緩和縮小の可能性は当分ないと市場が思いこむと、また金利が下がり過ぎてしまう。金利の上下でボラティリティが高くなるのを防ぐため、それを避けようとする狙いがあったのではないか」(市場関係者)という見方もある。あるアナリストは、「緩和縮小が開始されると予想された9月の会合で現状維持が決まったことで、何が分かったか。それは、『いつやるかが、分からなくなった』ということ」と話す。

市場のコンセンサスが大きく崩れた中、バーナンキ議長はあらためてどのような形で「緩和縮小」の到来を市場に織り込ませていくのか。”サプライズ”決定を経て、14年1月に任期満了を迎えるバーナンキ議長と市場関係者との間で、仕切り直しともいえるコミュニケーションが始まっている。

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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