ハーバードビジネススクールというと、みなさんはどんな印象を持っているだろうか。経歴に一点の曇りもない、ピカピカのエリート集団と思われているかもしれない。だが、現在2年生の私は、アメリカの片田舎の大学を卒業し、あまり知られていないコンサルティング会社で勤めていたという経歴しかない。
いったい、どうして世界最難関とも言われるハーバードビジネススクールに合格することができたのか。ハーバードとはいったい、どんな論理で動いている世界なのか。この連載では、知られざるハーバードビジネススクールの今について、私の経験を踏まえてお伝えしたい。
誤解だらけのMBA受験
さて、多くの人は、MBA受験を誤解している。MBA受験は、日本の大学入試のように偏差値を競うものでも、知識や知能を競うものでもない。もちろん英語力は必須で、GMATやTOEFLといった共通試験を受けて、そのスコアが足切りに使われることはある。しかし、それは最低条件であり、受験の本質はエッセイとインタビューだ。
エッセイとインタビューでは、生い立ちから将来の夢をひとつのストーリーに仕立てて、その主人公である自分を自己分析し、自身の強みを最大限アピールする。つまり、MBA受験に成功するのは、頭がよい人ではなく、アピール力に優れた人だ。それも、ほどほどのアピールでは足りない。求められているのは、ある種「おまえ、ウザイよ」と顔をしかめられるくらいの、強烈なアピールだ。
実際、輝かしい経歴や、何らかの卓越したスキルや経験があったわけでもない私が、ハーバード行きの切符を勝ち取ることができたのは、ただひとえに、その1点について、学校側の目にとまる何かがあったからと思う。
思い立ってすぐ、ボストンへ
大学卒業後、とあるコンサルティング会社に勤めていた私は、ハーバードへの出願を思い立ってすぐに、ボストンまで飛んだ。キャンパス視察をするためというのは建前で、実のところ、入学審査官に顔を売ろうと考えたのだ。
だが、当たり前といえば当たり前だが、建物の中に入ることすら許されなかった。その日は授業見学できる日ではなかったのだ。そこで、見かけた在校生に頼み込んで、彼が午後に受ける予定だった企業戦略の授業に参加させてもらった。そこで私が見たのは、クラスルームで繰り広げられる真剣勝負の議論。学生たちによる熱を帯びたやり取りを目の当たりにして、絶対ここに入学しようと固く決心した。
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