ハーバード生が持つ、”ウザい”という才能 頭のよさ、学歴だけで、世界は回らない

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私が思うに、そこには講義を静かに聞きながら、新たな知識を吸収しようといった発想は存在しない。いすから立ち上がらんばかりの迫力で自分の意見を発言する。猛反論され、論破されてしまってもいい。自分のポジションを明確にし、行動することで、新たな見解が開け、新たな学びがあるという世界なのだ。

この傾向はクラスルームの外でも変わらない。自分の趣味に合うクラブがなければ、自らクラブを立ち上げてプレジデント(部長)に就任し、大学から活動費を獲得する。どうしても就職したい会社があれば、あの手この手でネットワーキングして人間関係を作り、無報酬のインターンなどで会社に潜り込み、いつの間にかその会社から入社のオファーをもらっている。

こうした行動力が、将来のキャリアを大きく加速させることは間違いないし、こうした力の集積が、世界を動かしているかもしれない。大げさかもしれないが、そう思えることがある。

世界で戦えるのは、わきまえない日本人

私は日本人であることを誇りに思うし、日本的な美徳感覚はすばらしいと思う。しかし、世界のエリートと言われる人たちが、これほど軽やかなフットワークで物事を動かしているということを、多くの日本人に知ってほしい。ただでさえおとなしいと言われる日本人は、意識的にもっと動き回るべきだと思う。

日本では「わきまえる」や「空気を読む」といった感覚が、今でも何より重視されていると思う。しかし、海を渡った瞬間、その美徳は忘れたほうがいいと痛感する。

そういえば、この連載だって、私が東洋経済オンラインのコメントフォームからいきなり連絡したのがきっかけだった。あの「わきまえない」メールから約1年、何度も何度も編集部を説得し続け、ついに編集担当の方が折れた。こうして、ぴかぴかの経歴も文才もない私が連載させていただけるようになったのだ。

いつ打ち切りになるかわからないが、今後、できるかぎり現役MBA生から見た世界をお伝えしていきたい。
 

湯浅 エムレ 秀和 ハーバードビジネススクール2年生

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ゆあさ えむれ ひでかず / Yuasa Emre Hidekazu

1985年、トルコ人の父、日本人の母のもとに生まれる。スイスの公文国際学園を経て、オハイオ州立大学に入学。

大学在学中にファッション輸入ビジネスを起業。卒業後、経営コンサルティング会社(東京オフィス)にて勤務。

2012年からハーバードビジネススクールに在籍。

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