あえて「結論を出さない」人が持つ思考の技術 正解のない時代、みんな無理をしなくていい
プロデューサーは最後尾にいる
「丸山さんは、とても変な人だ。面白いことを、自信なさげにぼそっという。『仕事ができます』オーラもあまり出さない」
古市憲寿さんが、拙著『すべての仕事は「肯定」から始まる』(大和書房)を著した時に、推薦文として書いてくれたものだ。この後、「だけど人の記憶に残る変な番組を、定期的に生み出している」とフォローはしてくれているのだが、なるほど、さすがの人物描写、苦笑しつつも受け入れざるを得ない。
じっさい、たしかに他の出演者たちからも、お会いした時に、「プロデューサーっていうから、もっとブイブイいわせてる人かと思っていた」「もっとイケイケで濃いキャラの人かと思っていた」と、想像されていたイメージとの相違を伝えていただくことが多い。
どうやらテレビプロデューサーというと、エネルギッシュな押しの強いタイプ、脂ぎったお調子者タイプなどを連想する方が多いようだ。ちょっと複雑な気分だ。
世間でのプロデューサーのイメージといえば、口八丁手八丁で、多くの人々から企画への賛同を引き出し、制作現場でも中心となってスタッフを統率する姿だったり、キャラが強く、大声で指示を出し、先頭に立って皆をグイグイひっぱっていく姿が定番らしい。ドラマなどでもそんなふうに描かれているのを見ると、苦笑してしまう。
しかし、当然といえば当然なのだが、ちゃんとコンスタントにさまざまなジャンルの仕事を継続させていくプロデューサーは、バリバリ前面に立って……というより、どちらかといえば寡黙、むしろ最後列から全体を見渡しているような人が多い気がする。
そもそも、仕事の中身自体が、本当に多くのさまざまな人々に関わってもらうことで、たったひとつの企画書から映像作品を立ちあげていくのだから、オンエアーの瞬間まで、さらには放送後の反響に対してもブレない胆力、情緒の安定、しなやかな精神の強さが重要になってくるはずなのだ。今まで出会った多くの先達たちの後ろ姿、そのたたずまいを思い浮かべながら、そう確信する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら