あえて「結論を出さない」人が持つ思考の技術 正解のない時代、みんな無理をしなくていい

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リーダーシップの取り方にもいろいろある。登山の時、リーダーは脱落者が出ないよう、最後尾から登る。皆の背中を押しながら、励ましながら、山頂を目指すのだ。もちろん、いろいろなタイプがいてよいのだが、全体を俯瞰で見ることができる冷静さは、僕が考えるプロデューサーの、まずは必要条件だ。

無理はしなくていい

何を大事にして番組制作をしているのか? 時々、プロデューサーとしての立ち位置をインタビューなどで問われることがある。もちろん大事にするものはいろいろとあるのだが、ひとことで言えといわれれば、「場を作ること」ということに尽きる。

もちろん、「時代を読む」などの、後でも触れる発想の根本の話は別として、まずは場作り。自由闊達な、風通しの良い「場」だ。

場作りというと、「現場に差し入れを欠かさない」「スタッフをねぎらう」……など、チームワークをよくするための気づかいなどをイメージする方もいるかもしれないが、そういうことではない。もっとシンプルにして、本質的なことだ。

関わってくれている人々が、その資質の最も良質な部分、本来持っている能力を発揮してくれているかどうか、さらにいえば、その場を無理なく楽しむ気分になることができているかどうか……そういう場を作ることが最も大事だ、ということになる。

人間、本当にいろいろなタイプがいる。コツコツと計画的にことをなす几帳面な人、気まぐれな気分屋、普段はのんびりしているが、ここ一番の集中力は持っているタイプ……。

出演者やスタッフ、仕事を共に進める彼ら、彼女らの姿を見ている時、「いったいどんな子どもだったのだろうか?」とぼんやり想像することがある。

たとえば、小学生の頃、夏休みの宿題を最終日に一気に仕上げてつじつまを合わせるタイプだったディレクターに、仕事の進捗をあまりせっついて報告を求めても仕方がない。逆に、日々きちんきちんとこなすことが喜びのスタッフを、あまり放っておくのもよろしくない。三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだが、幼少期の姿、無邪気な立ち居振る舞いのなかに、人それぞれの資質というものはすでに表れているものだと思う。

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