日ハム、「大谷移籍」特益22億円の使い道は? 札幌市か北広島市か、本拠地移転問題の行方

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最寄り駅の真駒内駅は、市の中心部である大通駅から地下鉄南北線で17分。現在の札幌ドームの最寄り駅である福住が12分なので、5分ほど遠くなる。さらに、駅からは徒歩で20分程度かかるので、シャトルバスでの対応になる可能性がある。

緑地の保全も図るため、対象となる敷地は3.4ヘクタールと北広島案の10分の1以下。商業施設やホテルなどは建設しない前提で、駅周辺の再開発との連携も図る戦略だ。

北広島では平和のカジノ特区計画が浮上

フルスペックのボールパーク建設が可能で、交通インフラまで整備するという北広島には、ここへ来て別の材料が浮上している。

12月14日、パチンコメーカー大手の平和が、カジノ特区申請の提案を北広島市に提出したのだ。新球場建設候補地から直線距離で3キロメートルほどの場所に、子会社のPGMが運営する札幌北広島ゴルフ倶楽部がある。

森林に囲まれた同ゴルフ場の敷地280万平方メートルの中に、総額2000億円を投じてカジノリゾートを建設、国際大会に対応できるよう、同ゴルフ場を再整備し、国際会議場や大型ホテル、温泉施設などを整備したい、というものだ。

カジノ特区の申請は、事業者が市町村に提案し、市町村が都道府県に上げ、国への申請は都道府県が行う。北海道では既に苫小牧市、釧路市、留寿都(るすつ)村が手を挙げており、いずれも行政主導であるのに対し、平和のケースは行政主導ではない。

このため、北広島市は「これから提案内容を検討する」(北広島市企画課)。平和の計画は敷地も自前なら資金も自己資金。敷地も森林によって外界から隔絶されている。

この計画が、新球場誘致に影響するのかしないのかが、現時点では全くわからない。いずれにせよ、大谷マネーとダルビッシュマネーを得た日本ハムが一定の方向性を出すと約束した期限は2018年3月だ。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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