日ハム、「大谷移籍」特益22億円の使い道は? 札幌市か北広島市か、本拠地移転問題の行方

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かねてから内々に検討を重ねていた自前の新球場建設について、建設するかしないかも含めて、2018年3月までに一定の方向性を出すことを、2016年12月に親会社の日本ハムと連名で公表している。

その球団の新球場建設についても、建設予定候補地がどこであるか以前に、そもそも建設するのかどうかも含め、親会社・日本ハムの公式見解は「何も決定事項はない」だ。

だが、地元北海道では、球団が本拠地を札幌ドームから新球場に移すことは確定、新球場の建設予定地も、札幌市が推す「真駒内(まこない)公園案」と、北広島市が推す「きたひろしま総合運動公園案」に絞り込まれていることを、当事者である札幌市も北広島市も認めている。

さらに、夏頃までは北広島市案が大きくリードしていたが、札幌市が真駒内案で巻き返しを図り、地元政界からは真駒内案有力説まで出ているらしい。

真駒内VS北広島で争奪戦

現在の札幌ドーム(写真:bj_sozai / PIXTA)

新球場誘致に真っ先に名乗りを挙げたのは、札幌市に隣接する北広島市。札幌からJR千歳線普通電車で22分、エアポート快特なら16分の距離に位置する。

候補地は「きたひろしま総合運動公園」。市が所有している36.7ヘクタールもの広大な敷地なので、球場だけでなく商業施設やホテルなどを併設した、球団が目指す「アジアナンバーワンのボールパーク」構想の実現には十分な広さであることをアピールしている。

アクセスについても、現在のJR北広島駅からだと球場入口となる場所まで徒歩で20分以上かかるため、目の前への新駅設置をJR北海道に働きかけることを宣言。新駅設置が難しければ、現在の北広島駅から球場入口まで、一度に100人運べる大型ゴンドラを整備する、とまで言っている。

このほか、一定期間の底地の賃料免除や固定資産税・都市計画税等の優遇を打ち出すなど、上野正三市長自ら積極的に誘致活動を展開している。

また、現在は公園なので、都市計画上は市街化調整区域となっており、「スタジアムは建設可能でも商業施設やホテルは建てられないため、市街化区域への線引き変更も北海道に働きかける」(北広島市企画課)という。

これに対し、札幌市内からも出て行かれてしまうことは是が非でも回避したい札幌市は、北海道大学構内案、旧道立産業共進会場周辺案の2案に加え、今年11月には3案目となる真駒内公園案も提示。

交通の利便性では北大案、共進案が勝るので、「球場に足を運ぶ市民にとっての観戦しやすさという点で、交通の利便性が高い北大案、共進案も諦めてはいないが、球団からは真駒内と北広島で検討したいと言われている」(札幌市まちづくり政策局)という。

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