高卒ドラフト1位がハマる栄光と敗北感の罠

プロ野球の世界で挫折を味わった4人の軌跡

10月26日の プロ野球ドラフト会議 。7球団が1位指名で競合した早実高の清宮幸太郎内野手を引き当て、喜ぶ日本ハムの木田優夫GM補佐(左から3人目)東京都内のホテルにて(代表撮影)(写真:共同通信社)

新しい人材を採用するときに、プロ野球の球団ほどしっかりと準備をする組織はほかにないだろう。アマチュア選手を一年中追いかける経験豊富なスカウトが全国に配置され、地方大会に有望選手が出場するときにはビデオやスピードガンを持って、ピッチングやバッティングをチェックする。数年がかりで作成された獲得者リストがあり、上位指名の可能性が高い選手について、家族構成や影響力のある後援者なども調べあげるという。

現在、ドラフト1位に用意される契約金や年俸は、他のスポーツでは考えられない金額だ。契約金は1億円+出来高5000万円、1年目の年俸の上限は1500万円と決められている。もちろん、すべての選手がその条件で迎えられるわけではないが、有望な新人選手にはそれだけの価値があると日本球界では考えられている。

「契約金ドロボー」と罵られユニフォームを脱ぐ

だから、プロ野球でまだ1球も投げたこともない投手に、一度も打席に立ったことのない打者にそれだけの金額を提示するのだ。スカウトマンはほとんどがプロ野球経験者で、目利きとして認められた人間だ。彼らが作成したリストをチェックし、ふるいをかける監督はプロ野球の歴史に名を刻んだ名選手ばかり。

しかし、徹底的に調査しても、厳しい目でチェックしても、どうしても、当たり・はずれが出てしまう。プロ1年目からレギュラーポジションを獲得し、チームに貢献するドラフト1位もいれば、一度も一軍に上がることなくユニフォームを脱ぐ選手もいる。怪物や天才が集まるプロ野球でも、ドラフト1位は特別な存在だ。だからこそ、チームの誰よりも注目され、期待される。

それでもそのプレッシャーに押しつぶされ、成績を残せないまま、ある者は数年で他球団にトレードに出され、ある者は戦力外通告を受ける。「契約金ドロボー」のレッテルを貼られ、球界を去る選手は数え切れないほどいる……プロ野球選手に引退はあっても、人生に引退はない。ユニフォームを脱いでからも、生きていかなくてはならない。

自分の能力のなさに絶望し、故障に苦しみ、誰かの言葉に傷つき、人間関係に悩み……どん底でもがきながら、そこで何かをつかみ、自分の新しい場所を獲得した、7人のドラフト1位に『敗者復活 地獄をみたドラフト1位、第二の人生』という書籍の中で話を聞いた。

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