“夢の治療法"再生医療は、「産業」に育つか 17年目の黒字が見えた、J-TEC小澤洋介社長に聞く
京都大学の山中伸弥教授のノーベル賞受賞以来、注目度ががぜん高まった再生医療。安倍政権の成長戦略の中にも戦略市場創造プランとして、「再生医療」が位置づけられた。これまで日本で保険収載が認められた再生医療の製品は、実は、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(以下、J-TEC)の自家培養表皮「ジェイス」と自家培養軟骨「ジャック」の2つのみだ。同社は赤字続きだったが、今年から追い風を受けている。経済産業省の補助金も付き、ものづくり日本大賞「内閣総理大臣賞」を受賞。2016年3月期には黒字化も見えてきた。小澤洋介社長に今後の戦略と課題を聞いた。
――赤字続きでしたが、再生医療に追い風が吹いていますね。
創業以来の14年間、逆風の中を歩んできた。当社はほかの再生医療ベンチャーに比べればうまく行っていると思うが、それでも創業15年目にして(1999年2月1日設立)、今2014年3月期も最終赤字9億円の見通しだ。開発開始から販売まで自家培養表皮「ジェイス」は10年、自家培養軟骨「ジャック」は13年を要した。この半年で風向きは大きく変わったが、日本が再生医療に本格的に取り組むには、最後のチャンスだと思う。
創業当時は、厚生労働省(当時厚生省)から、薬事法の外でやってかまわないと言われた。つまり、規制対象外でサービス業ということだ。しかし、まもなく薬事法を通してくれと言われ、そのうえ、「確認申請」という上乗せのガイドラインができてしまった。治験の前に品質と安全性を証明せよ、というもので、細胞利用製品と遺伝子治療の2つだけに適用される。
今後は、そうした規制は取り払い、薬事法を改正して早期承認制度を導入することになっている。この点は非常に歓迎している。
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