東大で人気化する「アイデア出し」授業の中身 「呪縛」から抜け出す5つの方法

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【誤解1】アイデアをパクるのはダメ? 

ブレスト(ブレーンストーミング)で黙ってしまう人を見かけます。これは強烈な固定観念に支配されているからです。

これまで学校教育を受けてきたほとんどの人は、「カンニングなんて絶対にダメでしょ」「人のアイデアをパクるなんて、恥ずかしいこと」と思い込んでいるのです。筆者が教える東京大学の生徒も例外ではありません。

そこで筆者は、授業のたびに、東大生にいつも伝えています。

「パクりは悪いことではない。(ブレストでは)カンニングもOK。授業では、まずそのルールを守ってください」

すると学生のマインドががらっと切り替わります。のびのびと自由な発想ができるようになっていくのです。

1つの例を紹介しましょう。

「『自然』という言葉から思い浮かぶ言葉をチームでたくさん書き出す」というお題を与えられたら、何が思い浮かびますか?

いろいろ考えるものの、30個ほど書き出したところで、ペンが止まってしまう……。そんな状況が想像されますね。そのとき隣にいるメンバーをちら見したら、「自然=たまたま、偶然」という意味で書き出していたらどうでしょう。

「ああ、『自然=ネーチャー』という意味だけでなく、その切り口があったな」

すると、あなたの出せる答えは広がるはずです。メンバーからどんどんもらっていい、与えていい――。そう頭を切り替えることができたら、自分のアイデアを出すことへの恐れが消えます。

とにかく量を出すことが大事

【誤解2】アイデアは「量より質?」

「千三つ(せんみつ)」という言葉をご存じですか。「1000のうち3つしか本当のことを言わない」というウソつきの意味もありますが、私たちは「1000個のアイデアを出せば、その中に3つくらいはよいアイデアがあるだろう」という意味でよく使います。割合にして、わずか0.3%……それほどまでによいアイデアが生まれる可能性は低いのです。

ですから、大事なのは「とにかく量を出すこと」。

10個や20個ならともかく、1000個出すとなれば、何でもアリのルールで挑まなければ達成できません。くだらないアイデア、OK。突飛なアイデア、OK。周りの人の協力を仰いでOK。アイデアの質にこだわらず、とにかく量を出します。私の今までの経験でいえば、10個や20個程度で面白いアイデアがでてくる可能性は高くありません。 

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