任天堂スイッチ、大ヒット商品開発の舞台裏 Wii Uのリベンジ、開発者が明かしたこだわり

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小泉ゼルダ』は「濃い内容のゲームをどこでも遊べる」という魅力を体験してもらうためのソフトだ。今作の『ゼルダ』は広大な世界の中に小さな遊びが数多く入っていて、家のテレビでじっくり遊んでも、すき間時間でプレーしても楽しめる。

もともとWii U向けに開発していたゲームなので、スイッチ独自の機能が多く使われているわけではないが、「持ち運べる据え置き機」というスイッチの魅力を伝えるのにピッタリなゲームだったので、ローンチタイトルに据えた。

一方、『1-2-Switch』の目的はジョイコンを使ったスイッチ独自の遊び方を紹介すること。そのため、内蔵センサーでモノの形や動きを読み取る「モーションIR(赤外線)カメラ」、そして繊細な振動を伝える「HD振動」を活用した2人向けのミニゲームをみっちりと詰め込んだ。

びっくりするようなソフトに期待

――Wii Uでは、任天堂以外のソフトメーカー(サードパーティ)から「ソフトを開発しづらい」という声があった。スイッチではどうなのか。

高橋:そこは今回非常に反省した。スイッチでは、(ゲーム開発ソフトウエアとして一般的に使われている)「Unity」や「Unreal Engine」に対応した。これにより、ほかのゲーム機向けと同じ要領でスイッチ向けのソフト開発が可能になる。

そのうえで、サードパーティが開発したくなるような環境を作っていくことが今後の課題だ。そのためには、ハードとソフトの両方を作っているという私たちの強みを生かして、スイッチ独自の機能を使った楽しみ方を提案していくことが大切だと考えている。

小泉:私たちがスイッチで実現したいことの1つは、ユーザーがゲームと接触する時間や機会を増やすこと。その点は、すべてのゲーム制作者に共感してもらえる点だと思う。

サードパーティのソフト供給が増えれば、ユーザーがゲームに触れる機会はますます拡大するので、ソフト開発者とユーザーのどちらにとってもよりよい環境になる。これから僕らがびっくりするようなソフトが出てくることを、すごく期待しています。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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