勝負師の小池都知事が練った「三段跳び」戦略 あおり食った民進党は「分党」「解党」へ大混乱

拡大
縮小
「トリックスター」ぶりは小泉純一郎元首相を彷彿とさせる。写真は2005年の衆院選(撮影:高橋孫一郎)

2020年秋以降の次回衆院選が最後のチャンス

となれば、小池氏の国政復帰は次回衆院選となる可能性が大きい。今回首相が冒頭解散に踏み切ったことで、「次回衆院選は東京五輪開催後の20年秋以降になる可能性が高い」(自民幹部)とされ、小池氏にとって「その時こそが、国政に復帰して首相を狙う最後のチャンス」(同)となるわけだ。

今回衆院選での小池新党による挑戦は、三段跳びにたとえれば首相を目指す第1歩の「ホップ」。衆院選での希望の党の大躍進が「ステップ」となり、次の衆院選での国政復帰を「ジャンプ」として一気に首相の座を狙う、というのが小池氏が描く"国盗り戦略"とみる向きが多い。

ただ、3年後の東京五輪まで都知事と党首の「二足の草鞋」を履き続けることによって、都政運営が少しでもおろそかになれば、「その時点で小池劇場には閑古鳥が鳴く」(首相経験者)ことは避けられない。今回の選挙戦で「選挙にはかかわるつもりはないが、原発ゼロは応援する」と語った小泉純一郎元首相の政局運営を真似した"トリックスター"ともいわれる小池氏だけに、政界では「選挙が終われば早晩、賞味期限切れとなり、首相に挑戦するチャンスもなくなる」(同)との見方も少なくない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT