現場にいない人事部が社員の才能を飼い殺す 「ほぼ日」と「カヤック」、ユニーク人事の裏側

✎ 1 ✎ 2
拡大
縮小
人を1人雇うのは事業が1つ生まれるくらいインパクトがある
政府から「働き方改革実行計画」が発表され、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」のもと、リモートワークや残業時間削減が推奨されている。しかし、一度立ち止まって考えてほしい。単にリモートワークを導入すれば、残業時間を削減すれば「働き方改革」なのか。「働き方改革」は人事の“から騒ぎ”と化し、現場は興ざめしていないか。
3年間で延べ1万人が参加した国内最大規模の働き方の祭典「TOKYO WORK DESIGN WEEK」を通じて、さまざまな働き方に出会ってきたTOKYO WORK DESIGN WEEKオーガナイザー・横石崇がそんな疑問に迫る本連載。第1回は、上場企業で、規模の拡大を宿命づけられた立場でありながら「ルールをつくらないことが人事の仕事」だという「面白法人カヤック」と「ほぼ日」の働き方を取り上げる。
カヤックはネット広告の受託制作、ソーシャルゲームを主軸、ほぼ日は糸井重里氏が創設したサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営、自社企画品を直販している。この2社に働き方改革の疑問をぶつけてみた。話を聞いたのは、ほぼ日の篠田真貴子CFO、カヤックの柴田史郎・人事部長。

全体の生態系をマネージする意識が大切

横石 崇(以下、横石):まずは、お2人の仕事内容を教えてください。

篠田 真貴子(以下、篠田):肩書はCFO(最高財務責任者)なんですが、管理部門全部を見ているので、人事も私の領域です。

この連載の一覧はこちら

横石:採用も篠田さんの担当になるのでしょうか?

篠田:そうですね。ただ、一般的に人材採用というと、営業を10人から100人に増やすみたいなことをイメージされると思うのですが、ほぼ日では考え方が少し違います。私たちは「人を1人雇うことは、工場を1つ建てる」ことだと思っています。人を1人雇うのは事業が1つ生まれるくらいインパクトがあるというか。

柴田 史郎(以下、柴田):糸井重里さんらしい考え方と比喩ですね。

次ページ「面白い採用を考えろ」
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT