ソフトバンク、絶好調決算の先にある"金脈" これからゴールドラッシュが始まる?

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ちなみに、ソフトバンクの営業利益は2013年度に一度、1兆円を超えている。ガンホー・オンライン・エンターテイメントと旧ウィルコムの連結化に伴う一時的な評価益を計上したからだ。当時、孫社長は「史上最速で1兆円を突破した」と同じように語っていたが、今回は「これ(2013年度)を除外して考える」と説明した。

最終利益が営業利益の1.5倍近い1兆4263億円になった主な理由は、「非継続事業からの純利益」(以下「非継続純益」)の大幅な増加だ。前期617億円に過ぎなかった非継続純益は5547億円と9倍近くに増えた。

「ソフトバンク=金の卵を産むガチョウ?」

その理由は、世界最大のゲーム会社・スーパーセルと、世界最大のECサイト運営のアリババの株売却益だ。過去に投資した先の巨額売却益が、ソフトバンクを国内でトヨタに次ぐ「純益1兆円企業」に押し上げた。

今回の決算説明会で、孫社長は「ソフトバンク=金の卵を産むガチョウ?」という2年前の決算説明会のスライドを掲示した。

「ソフトバンクは借金が多い、借金の好きな会社だとよく言われる。確かに約2年で純有利子負債(有利子負債から現預金を引いた額)が6兆円から8兆円へと2兆円増えた。しかし、これはいわばガチョウのエサだ。借金は2兆円増えたが、それで企業価値(国内通信事業やアリババ株などの価値を合計した額)は18兆円から25兆円へと7兆円増えた」

2兆円借金を増やすことで企業価値を7兆円も増やした、という独自の見解を披露した。

そのうえで孫社長は「株主価値(企業価値から純有利子負債を引いた額。株主が保有している実質価値を意味する)は2017年5月9日時点で17兆円なのに、ソフトバンクの時価総額は9兆円と株主価値を大きく下回っている。17兆円はいわばガチョウの産んだ金の卵。しかし本当に価値があるのはガチョウ、すなわちソフトバンクの方だ。ガチョウにこそ価値がある」と述べ、「ソフトバンクの株価は安すぎる」という従来からの持論を今回も繰り返した。

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