日本にとって人手不足はどれほど深刻なのか

今後10年を見ると過度に悲観する必要はない

ヤマト運輸の値上げは人手不足の象徴として語られている(撮影:大澤誠)

最近、人手不足が日本経済の制約要因になりつつあるとの見方が増えている。

失業率は完全雇用とされる3%程度での推移が続いていたが、2017年2月には2.8%と1994年12月以来の2%台に低下、3月も2.8%だった。また、有効求人倍率は2013年11月以降、求人数と求職者数が一致する1倍を上回り続け、2017年3月には1.45倍と約26年ぶりの水準まで上昇している。

日銀短観2017年3月調査では、全規模・全産業の雇用人員判断DI(過剰-不足)がマイナス25で、バブル崩壊直後の1992年以来の人手不足感となっている。宿泊・飲食サービス、小売、運輸・郵便など労働集約的な業種が多い非製造業、人材の確保が難しい中小企業の人手不足感が特に強い。

こうした中、スーパーや百貨店の営業時間短縮、ファミリーレストランの24時間営業の取りやめ、宅配業者のサービス縮小などが相次いでいる。
人手不足はどれほど深刻なのだろうか。

労働需要の強さが人手不足の主因

人手不足は労働市場の需要が供給を上回る状態を示すため、需要の拡大によって生じる場合と供給力の低下によって生じる場合がある。

「失業者=労働力人口-就業者」で表される。労働力人口は15歳以上の人口のうち、就業者と職を求めているが失業中の人の合計である。就業者が増加すれば失業者が減少することは言うまでもないが、労働力人口が減少しても失業者は減少する。実際、失業者は2009年7〜9月期の359万人をピークに8年近くにわたって減少を続けているが、2013年初めまでは高齢化の進展や職探しをあきらめる人の増加によって労働力人口が減少していたことが失業者の減少をもたらしていた。

しかし、その後は就業者が増加に転じ、失業者減少の主因が就業者の増加に変わってきている。2016年10〜12月期の失業者数は204万人とピーク時から156万人減少した。この間に労働力人口は35万人増加しており、このこと自体は失業者の増加要因となるが、就業者が188万人増加したため、失業者が大幅に減少したのである。

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