ドラマ「CRISIS」、新幹線格闘シーンの舞台裏 N700系リアル車内はどうやって撮影したか
その後、カメラが切り替わると車内のシーンに移るのだが、その新幹線の車内が、本物そっくりなのだ。映画やドラマ、そして鉄道に詳しい人なら新幹線車内のアクションシーンはセットでの撮影という先入観があるかもしれない。だが、通路横の広告、荷物棚下にある空調の吹き出し口、床の模様などが総合的に醸し出す雰囲気は、ひょっとしたら本物のN700系を使ったのではないかと思わせる出来栄えだ。
そうはいっても、録画を繰り返して見ると、普通車やグリーン車の座席の色が微妙に違っており、やっぱりセットなのでは?と思わせる部分もある。そこで、関西テレビに確認してみたところ、「セットです」という回答があった。大がかりなアクションシーンの撮影では、カメラアングルの配置など、セットを使ったほうが迫力を出せる場合が多いからだ。激しい格闘のあまり、座席の枕カバーが引き裂かれるシーンもある。こうした演出は本物の車両ではNGだろう。アクションシーンのさなか、新幹線がトンネルに入ったり出たりするたびに窓の外が暗くなったり明るくなったりする。それがアクションシーンの緊張感を高める。こうした屋外の光の描写もセットだからこそ可能な演出だといえる。
女性販売員もアクションに絡む
小栗旬がテロリストにプロレス技の一つ、腕ひしぎ逆十字固めを決めるシーンがあるが、「セット撮影といっても、技を決める場所が数センチでも違えば、座席にぶつかって大けがになりかねません」(関西テレビ宣伝部)。テロリストを演じる三元雅芸と何度もリハーサルを繰り返した。なお、三元雅芸は「和製ジャッキー・チェンと評されるほどのアクション巧者」(同)。もう一つのアクションシーン、西島秀俊とテロリストの格闘にも突然現れた女性車内販売員が絡むなど、こちらも迫力満点だ。
それにしても、たった1回のアクションシーンのために、これだけのセットを造ってしまうとは驚きだ。座席だけでも100人分近くそろえる必要がある。グリーン席も合わせれば160席近くになる。さらに車端部のデッキやトイレ、手洗い所まで再現されているのは驚きだ。セットの製作費についても聞いてみたが、残念ながら「ないしょです」とのことだった。
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