新幹線の「車内改札」が今になって終わる事情

不評の多かった"恒例行事"がいよいよ廃止に

東海道新幹線の車内ではおなじみの"この光景"も、来年3月以降は自由席だけでしか見られなくなる(写真:John S Lander)

「きっぷを拝見いたします」。東海道新幹線の車内で仕事などに没頭していたとき、車内改札でハッと現実世界に呼び戻された経験は誰にもあるだろう。何かと不満の多い“恒例行事”だが、鉄道営業法には「乗客は車掌から請求があれば、切符を提示しなくてはいけない」と定められている。

その新幹線の車内改札を、JR東海が廃止すると発表した。2016年3月のダイヤ改正日から実施する。車内改札をやめるのは指定席とグリーン席で、自由席ではこれまでどおり、車掌が切符を直接確認する形で改札する。

指定席の乗客であっても、きっぷに記載されていない席に座っている場合は確認されることがある。学生割引やジパング割引など各種割引きっぷの利用者は、割引資格を確認できる証明書の提示を求められる場合もある。

東海道新幹線だけ取り残されていた

ほかのJRの新幹線はどうなっているのか。JR東日本は2002年12月に新幹線での車内改札を廃止した。JR九州の九州新幹線も車内改札を行っていない。JR西日本は東海道・山陽を直通する新幹線では車内改札を行う一方、東海道とは直通しない山陽新幹線では省略している。タイミングは遅れるかもしれないが、今後は東海道・山陽直通の新幹線もJR東海に合わせる形で車内改札をやめることになる。

これらの新幹線が車内改札をしていないのには理由がある。新幹線専用の自動改札機を通過すると、きっぷに記載された指定席の情報が車掌の携帯情報端末に伝送され、端末上で指定席の利用状況を把握できるからだ。

では、JR東海がこうした情報システムを開発していないかというと、そんなことはない。他社同様、JR東海の車掌も携帯情報端末を装備しており、指定席の利用状況を常時把握している。

にもかかわらず、なぜJR東海だけが今まで車内改札を続けてきたのか。それは、運行本数の多い東海道新幹線では、指定席券を持っていても自分の都合で前の列車や後続列車に乗ってしまう利用客が少なくないためだ。

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