東海道新幹線が「32両連結」で走行したワケ

全長800メートルの壮観、年1回の大イベント

鳥飼車両基地内で32両走行する東海道新幹線(撮影:尾形文繁)

JR東海の東海道新幹線700系とN700Aの連結シーンはめったに見られるものではない。JR東日本の場合は東北新幹線に山形新幹線や秋田新幹線の列車を連結して走行するため、連結・切り離し作業は福島駅や盛岡駅で日常的に見られる。それも人手を介さず、ハイテク装置を使った遠隔操作で行なわれる。

しかし東海道・山陽新幹線ではこのように連結した車両が分岐することはない。新幹線同士が連結走行するのは、故障して動けなくなった列車を救援列車が併合して安全な場所まで移動するといったケースくらいだ。めったにないが、実際にこうした事例が過去に起きている。

昨年11月30日、JR東海は鳥飼車両基地(大阪府摂津市)で総合事故復旧訓練を開催、その訓練の一環として新幹線の救援連結が行なわれた。700系が動けなくなり、N700Aが救援に駆けつけるという想定だ。

800メートルの列車が動く姿は壮観

先頭カバーが取り外された状態の700系が待っていると、前方からN700Aがゆっくりと近づいてきた。20メートル手前でいったん止まり、その後も低速走行の後に700系の車掌による誘導で3メートル手前で停止。N700Aの車掌がカバーの取り外し作業を始めた。日常的な作業ではないので、手順ごとに指導員の指示を聞きながら慎重に進める。準備を行なっている乗務員は若手のようだ。多くの見学者が見守る中、緊張している様子が手に取るようにわかる。

カバーを取り外すと、N700Aは再び接近を始めて700系のすぐ手前で停止した。お互いが鼻を突き合わせる格好だ。続いて両方の列車の車掌が列車の先頭連結器を引き出す。両方の列車の連結器の高さを確認した後にようやくドッキングした。もっともドッキングして即動き出すわけではない。電気系統やブレーキのチェックを行ない、安全に牽引できることを確認してようやく動かすことができるのだ。

700系を連結したN700Aがゆっくりと動き出した。16両編成と16両編成が連結しているので計32両。1両当たりの長さは25メートル(先頭車両は27.35メートル)なので、32両ならおよそ810メートル。これだけ長い編成が動く姿は壮観だ。訓練ということも忘れて思わず見とれてしまった。

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