知的財産権について、専門家の稲穂健市さんに伺っています。最終回は、ジャニーズ事務所の知財戦略について。メリー喜多川さんがご自分で衣装を作っていた時代があったとか、ジャニー喜多川さんがアメリカで発見したビジネスチャンスとか、僕も知らない話がたくさんありました。
第1回:慶応義塾が「福澤諭吉」を商標登録できた理由
第2回:志村けんの「アイーン」を真似するのは違法?
メリー喜多川さんが取得した実用新案とは?
木本:最終回の今回はジャニーズ事務所の「知財戦略」は何がすごいのかです。よろしくお願いします。
稲穂:まず、ジャニーズ事務所は実用新案権を持っていますね。
木本:実用新案権? それは何ですか。
稲穂:大ざっぱに言うと、特許ほどレベルが高くない、物品に対してちょっとした工夫を施した「小発明」に関する権利ですね。実用新案として特許庁に出願すると、形式的な要件を満たしていれば登録されます。その権利を主張したい場合には追加の手続きが必要となりますが、ライフサイクルが短い技術についてとりあえず権利を押さえておきたいときには有効です。
木本:ジャニーズ事務所はそれを持っていると。
稲穂:具体的には、メリー喜多川さんが考案した「早変わり舞台衣裳」というものです。最初のアイデアは、トシちゃん(田原俊彦)が入所した1976年に出願されています。その後、東日本大震災の発生した2011年に、さらに面ファスナーを付け加えたものが出願されています。
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