異次元金融緩和は機能していない。前回、このことをマネタリーベースとマネーストックの比較で示した。本来は、マネタリーベース増加額の数倍の規模でマネーストックが増加しなければならないにもかかわらず、実際のマネーストックの増加額は、マネタリーべースの増加額に及んでいないのだ。
以下ではこのことを、日銀当座預金と銀行貸出の推移で見よう。図は、日銀当座預金と国内銀行の貸出金平均残高を示したものである。貸出金残高は、2013年3月末をピークとして、それ以降は減少している。例年3月の残高は増える傾向があるが、12年の場合には4月が3月より増加している。しかし、異次元緩和が導入された13年では、4月の残高は3月より減少しているのだ。12年と比べると残高は増えている。しかし、増加は13年3月までの期間で生じたものであって、異次元緩和政策の結果ではない。
このように貸出金残高は、異次元緩和導入前に増加し、それ以降は減少している。人々が期待したのとは、正反対の現象が生じている。
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