伝統工芸の会社が、ものすごい勢いで…
──今もあちこちで伝統工芸の灯(ともしび)は消え続けているのですか。
そうですね。工芸の産地出荷額はピーク時5400億円あったのが、今は1000億円ですから、この30年で5分の1以下。会社数も4分の1です。それはものすごい勢いで倒産しています。ひっきりなしに廃業のあいさつに来られて、それが「日本の工芸を元気にする!」というビジョンにもつながったんです。
──「中小メーカーこそ“もの売り”を脱却して、ブランドづくりにシフトを」というのが持論ですね。
ものづくりはマーケットインよりプロダクトアウトであるべきと思うんです。作り手が“好き”や思いを込めれば、共感し選んでもらえる。
ただ中小工芸メーカーの問題はそれ以前。予算表なしに日々やり繰りしている。いやホント、そういうノリです。だから「経営をやりましょう」がまず第一。経営者に最低限の会計の見方を教えて、ちゃんと経営した先にブランディングというのがあるんですよ、とコンサルする。
──「適正利益」「対等」「公正さ」という言葉が至る所で出てきます。
僕らの世界でいうと、メーカーより問屋さん、問屋さんより百貨店や小売店のほうが大きい。パワーバランスとして、大が小を買いたたく下請けいじめがあるわけじゃないですか。でも、その結果が今の工芸の衰退なので、言うこと聞いてたらもう死ぬしかないんやで、というところに来てる。自分たちで生きていく道をちゃんと作らなきゃいけない。
僕らがメーカーであるからこそ、取引先のメーカーにやられたら嫌なこと、こうしてくれたらうれしいということがよくわかる。なので僕らは取引においては対等でありたい、公正でありたい、基本フラットでありたい。かつて力関係に物をいわされて本当に嫌だったから。
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