中国人殺到!「愛知の急須」ここが斬新だった 地道な取り組みが生んだ、巨大な化学反応
「この作家はフェイマス(有名)なのか」。
常滑の作家物を集めた陶器販売店morrina(モリーナ)の杉江寿文代表はここ数年、中国人を中心とする訪日客からこのような質問を受けることがあるという。「そうだ」と答えるやいなや、1~3万円の高価な急須をまたたく間に「爆買い」していく。「作品のよさを見て買ってもらいたいが、重要なのは作家名のようだ」と、杉江代表は苦笑する。
常滑焼(とこなめやき)は愛知県常滑市を中心に焼かれる陶器で、日本六古窯のひとつとされている。そんな常滑焼の急須が、このところ中国で急激に人気化しているのだ。
朝会館を開けると、ドバっと訪日客が押し寄せる
常滑焼の卸販売業、まるふくの清水幸太郎代表は「国内の急須の需要は25年前の1991年を100とすると、昨2014年は15くらいにまで減った。ところが、当社の中国向け急須の売り上げは年間2割増ほどのペースで伸び続けている。中国向け需要がなかったら、常滑で営業している4、5軒の製造元や多くの作家が廃業していたかもしれない」と語る。
常滑焼産地の中核施設、「常滑市陶磁器会館」の皆川洋義事務局長も「3年ほど前から1台40人程度のバス団体客の立ち寄りが増え、朝7時半とか8時に会館を開けると、ドバっと訪日客が押し寄せるようになった」と説明する。
そういった観光客は500~1000円程度の手頃な招き猫や猫の小物を買っていくのが主流(常滑は日本最大級の招き猫産地でもある)だが、「(中国側の税関制度が厳格化する以前の)年初頃までは、ときおり転売目的のバイヤーらしき外国人が来て、急須を何個も買って手でぶら下げていくことがあった」(皆川氏)という。
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