カルビーが株主に左右されず成長できる理由 顧客や従業員を重視する姿勢から始まる

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スナック菓子ナンバーワンの老舗企業がここへ来てグングン成長している背景にあるのは?(撮影:尾形 文繁)
「顧客が大事」「顧客視点で考えろ」と口にする経営者は多いものの、実際に冷静に顧客視点で考えると、過去の惰性で企業視点の取り組みを続けている会社は意外に多いのではないでしょうか。
『顧客視点の企業戦略 アンバサダープログラム的思考』の著者で、アジャイルメディア・ネットワークで企業のアンバサダープログラムやソーシャルメディア活用のアドバイスを行う徳力基彦氏は、「ソーシャルメディア時代への変化に対応できていない企業は、大抵の場合マスマーケティング時代の成功体験が足かせとなっている」と指摘します。

ソーシャルメディア時代において

ソーシャルメディア時代に成功している企業に共通しているのは「顧客視点」での取り組みができていること。事例の1つとして、この10年で躍進したカルビーの取り組みを紹介しましょう。

2016年末にテレビ朝日系列で放送された「お菓子総選挙2016」。日本人に最も愛されているお菓子を選ぶランキング企画でトップ5商品のうち、なんと4つを独占してしまったのがカルビーでした。

カルビーといえば、日本のスナック市場の半分以上の市場シェアを占めている日本を代表するスナック菓子メーカー。ポテトチップスに至っては、日本市場のほぼ4分の3はカルビー製品が占めているそうですから、その強さがわかります。

ただ、カルビーは昔から現在の圧倒的な地位を誇っていたわけではありません。カルビーの躍進には現在会長兼CEOを務める松本晃氏の手腕があることは非常に有名です。

松本氏がカルビーの会長兼CEOに就任した2009年3月期の売上高は1370億円で、経常利益は44億円。今年度の2017年3月期の計画では売上高2500億円で経常利益が282億円と見込まれていますから、実にこの8年間に売り上げはほぼ倍増に近い勢いで、経常利益においては6倍以上になっていることになります。

カルビーが上場したのは2011年になりますが、この業績に投資家も満足しており、株価は上場時の525円から一時10倍以上の5700円の高値をつけています。最近でこそ、株価は横ばい基調が続いていますが、カルビーほどの歴史があり規模も大きな企業でのこの急成長は、間違いなく驚異的な成果といえると思います。

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