カルビーが株主に左右されず成長できる理由

顧客や従業員を重視する姿勢から始まる

象徴的なのは、カルビーが運営している「それいけ!じゃがり校」という取り組みでしょう。

じゃがりこは、スナック菓子でも1、2を争うほどの人気商品で、非常に大勢のファンがいます。「それいけ!じゃがり校」では、そのファンと一緒に商品を開発するという取り組みをもう2007年から10年にわたり毎年続けているのです。

今でこそ、こうした取り組みは「共創」というフレーズで語られ、ブームにもなりましたが、カルビーは「共創」という言葉が話題になる前から、「共創」の取り組みを始めていたことになります。

ファンとのコミュニケーションを重視しているからこそ

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「それいけ!じゃがり校」に参加するのは毎年3000人程度。

年間にじゃがりこが販売されている個数を考えると、実に小さな人数といえます。実際カルビーの社内でも、こんな少人数とのコミュニケーションに手間をかけていていいのか?という議論は何度かされているそうですが、じゃがりこの担当者の方々が少人数でもファンの方々とのコミュニケーションを重視しているからこそ、10年もの間にわたって継続されてきているといえるでしょう。

実際、このじゃがり校の企画から生まれた新製品は、その年の新製品のトップになることも少なくないそうです。

カルビーの山村眞コミュニケーション部長は2月3日に登壇したイベントで、「カルビーのお客様相談室には、『15分、2時間、14日』というルールが厳しく適用されている」と語りました。これは顧客から寄せられたクレームを、15分以内に地域の担当に連絡し、連絡を受けた担当者は2時間以内に顧客に訪問なり電話連絡を行い、報告書を14日以内に提出するというルールだそうです。

こうした取り組みの結果、クレームを寄せた顧客の再購入率は95%という非常に高い水準を維持できているそうです。

しかも、カルビーにおいては、顧客から手書きの手紙をいただいた場合には、担当者が手書きでお返事を書く、というのが昔から徹底されていると聞きます。手書きの手紙を書くことにかかる手間や、顧客からの手紙に返事すら送らないポリシーを取っている企業が少なくないことを考えると、カルビーの顧客重視の姿勢がいかに全社的に浸透しているかがわかる逸話といえるでしょう。

実は昔から「三方よし」という言葉に表現されているような、企業だけでなく、顧客や社会にもメリットがある形での企業運営というのは、日本企業で当然とされていた概念でした。カルビーのここ10年間の躍進は、そうした三方よしの価値観を維持した企業が、ちゃんと業績を倍増させることができている証明といえるはずです。

逆にいうと、昨今の「株主重視」の圧力や、グローバル会計基準に合わせた四半期決算の実施などにより、株主の前で短期の業績数値をいかによくするかということに意識が取られる経営者が増えたことが、日本企業が日本企業らしさを失って低迷している1つの要因になっているのかもしれません。

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