カルビーが株主に左右されず成長できる理由

顧客や従業員を重視する姿勢から始まる

これほど業績を伸ばし株価を上げている企業だから、「株主重視」を強く掲げているはずと思う方も多いでしょう。

ただ、実はカルビーは、株主よりも明確に顧客を重視している会社といえるのです。象徴的なのは、松本氏が就任後に制定した「カルビーグループビジョン」でしょう。

「顧客・取引先から、次に従業員とその家族から、そしてコミュニティから、最後に株主から尊敬され、賞賛され、そして愛される会社になる」

ことあるごとに松本氏は社員に、この「順番」が大事なんだと説いているものだそうですが、象徴的なのが、最初に「顧客」があり、その後従業員やコミュニティ、そして「最後に株主」と明確に書かれている点でしょう。

このビジョンは、松本氏がカルビーの前に日本法人の社長を務めたジョンソン・エンド・ジョンソンのクレド(信条、理念)を参考にされたそう。何といっても、単純に「株主重視」をうたうのではなく、顧客や従業員を重視することにより結果的に利益が出て株主のためになるという順番を重視していることがポイントです。

顧客一人ひとりに対して真摯に向き合うのが当たり前

ここ数年、東芝の不正会計問題やDeNAのコピペメディア騒動など、日本企業においても明らかに企業業績のみを重視してしまい、顧客を軽視した不正や騒動が注目されることが増えています。

大企業の経営者というのは実に孤独な仕事だというのはよく言われますが、その経営者にとっての通信簿としてわかりやすい指標になるのが「株価」であり、その株価に大きな影響を与える企業業績です。

ここで、経営者がその通信簿の成績だけを意識するようになると、東芝の不正会計のように業績をよく見せようとしてしまったり、DeNAのコピペメディアのように社会的倫理観から乖離した事業で業績をよくしようとしてしまったり、という現象が起きてしまいがちになるわけです。

従来の日本企業は、株式の持ち合いなどによりあまりに株主を軽視しているのではないかというのがよく言われており、「株主重視」が強く言われるようになった背景があります。ところがその言葉が独り歩きして株主「だけ」を重視すると、本質を間違えてしまうわけです。

そういう意味で、カルビーのグループビジョンが顧客やコミュニティを株主よりも明確に重視するという順番になっているのは、非常に重要な点だといえるでしょう。

特に興味深いのは、カルビーの社員一人ひとりがそのグループビジョンを自ら体現されているように見える点です。

筆者の勤める会社はカルビーが実施している堅あげポテト 応援部のお手伝いをさせていただいており、その関係でカルビー関係者の話を聞く機会も多くあります。経営メンバーからの業績向上に対するプレッシャーが強いという話も聞こえてくる一方、顧客一人ひとりに対して真摯に向き合うのが当たり前という意識を持たれていることを会話の端々に感じます。

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