マラソンシーズン中、つねに暗い顔をしていた日本陸連の瀬古利彦長距離マラソン強化戦略プロジェクトリーダーが“最後のレース”を終えて、ようやく笑顔を見せた。「今日は大ハッピー! 張本さんでいえば、大あっぱれ! よくやってくれた」と絶賛したのが、名古屋ウィメンズマラソンで快走した安藤友香(スズキ浜松AC)だ。
東京五輪のヒロイン候補として注目
安藤は日本歴代4位の2時間21分36秒をたたき出して、初マラソン日本最高記録を更新。ロンドン世界選手権の派遣設定記録(2時間22分30秒)を突破して、日本代表が内定した。リオ五輪銀メダリストのユニスジェプキルイ・キルワ(バーレーン)に食らいつくレースは、2020年東京五輪の“大活躍”を予感させるものだった。
名古屋は2つのペースメーカーが用意され、ファーストは中間点を1時間11分00秒前後、セカンドは1時間12分00秒~30秒で通過する予定だった。セカンドのレースメークは、日本陸連が「強化対策」として設定。1月の大阪国際と同じで、前半は抑えたペースで入る「ネガティブスプリット」のなか、後半にどれだけペースアップできるかを意識させるものだった。キルワを追いかけた安藤は、中間点を1時間10分21秒で通過。日本陸連の思惑を無視するかたちでレースを進めて、瀬古リーダーを大喜びさせたことになる。
レース後のインタビューで、「ここで戦えないと世界で勝負できない」と安藤は、先のことを考えずに突っ走ったことを明かした。好タイムには、「実感がない」と驚きながらも、「終盤はついていくことができず、自分の弱さが出たなと思っています。今のままでは(世界と)戦えないので、また練習を頑張ります」と反省を口にしていた。安藤の“目線”は、日本陸連が定めた場所よりも数段高かった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら