まず2月10日に予定されている日米首脳会談から解き明かそう。ズバリ、大きな成功が見込まれる。その道筋を示す前に、いま大騒ぎとなっている「大統領令(Executive Order)」について触れておきたい。
トランプ大統領は就任早々、多くの大統領令を発出している。そのなかでメディアに大々的に取り上げられているのが移民・難民の入国規制だ。これにはトランプ政権内の人種差別主義がからんでいる。この人種差別問題は、これからの日米関係、日米交渉の成否を問う際にどうしても知っておかなければならないポイントだ。
前任のオバマ大統領は大統領令の最大の信奉者だった
トランプ大統領が1月27日に電撃的に署名した移民・難民の入国規制に関する大統領令。これについては対象となった中東・アフリカ7カ国の人びとだけでなく、米政府内の身内のなかにも反対者がいる。そんな内外の批判、非難にまったくひるまないのがトランプ大統領だ。突然の大統領令によって、全米の国際空港で起こった混乱を目の当たりにしても、「もし入国禁止令を実施の1週間前に発表していたら、その間に悪者がなだれ込んでいただろう」とツイッターで強弁している。
実は、大統領令の連発はトランプ大統領の専売特許ではない。日本ではあまり知られていないが、前任のオバマ大統領も大統領令の最大の信奉者だったことで知られている。トランプ大統領はそのやり口をトランプ流にかすめ取り、大統領令を乱発することによって、リベラル派に「どうだ!」と目にもの見せているともいえるのだ。
この移民・難民の入国規制に関する大統領令だが、ウォール街の見るところ、法的な精査をしていないのは確実だ。骨格を起草したのはスティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問であり、もともと保守系メディアの元代表で右派の映画プロデューサーでもある。彼はイスラムに対して差別的な人物だ。選挙中はトランプ陣営の最高責任者として指導力を発揮し、政権内では外交・安全保障の司令塔であるNSC(国家安全保障会議)メンバー。トランプ政権内でも異色な存在である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら