マツダの悩みは「トランプリスク」より深刻だ

屋台骨の米国と日本で販売がつまづいた理由

マツダの決算発表と同じ2月2日にフルモデルチェンジされたSUV「CX-5」。2017年度の業績はこの車にかかっていると言っても過言ではなさそうだ(撮影:梅谷秀司)

「情報を確実に収集し、影響を冷静に分析していく」

2月2日に2016年度の第3四半期決算を発表したマツダ。記者会見で米国のトランプ新政権が与える影響を問われた丸本明副社長は、堅い表情でそう述べるしかなかった。

3月期決算の多い自動車業界では第3四半期の決算発表が本格化してきた。注目が集まるのは業績よりもむしろ、トランプ新政権が打ち出しているNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しなどの通商政策への対応だ。

屋台骨の米国はトランプリスクで揺れる

マツダは米国のシェアが2%弱と、トヨタ(14%)やホンダ、日産(ともに9%前後)に比べると目立たない存在。だが米国に生産拠点を有していないため、国内の雇用拡大を掲げるトランプ政権下ではリスクが高い企業の一つだ。

マツダの丸本明副社長は、第3四半期決算の発表会見でトランプ政権の影響についてコメントした(記者撮影)

米国はマツダの世界販売のうち2割を占めるだけでなく、「全社の利益の半分以上を稼いでいる」(国内証券アナリスト)。まさに屋台骨の市場であり、小飼雅道社長も「台数、収益面でとても重要」と認めるところだ。

その米国では2016年に約30万台を販売。そのうちの15%はメキシコ、85%は日本からの輸入だ。NAFTAの見直しも懸念材料だが、仮に日本からの輸入車にかけられている2.5%の関税が大幅に引き上げられれば、米国でマツダ車は一気に競争力を失うことになる。

マツダはこれまでも米国事業で苦労してきた。元々、ミシガン州で米フォード・モーターとの合弁工場で生産してきたが、リーマンショックで稼働率が半分以下に低下してしまう。北米事業が赤字に陥ったことから、2012年に合弁を解消して米国での現地生産から撤退。日本からの輸出に切り替えた。

その後、2014年にメキシコに新工場を稼働させた。低廉な労働力や集積が進んだサプライチェーンを活用して、北米や欧州、中南米への輸出拠点として定着しつつあった。そんな中で突然浮上したリスクにマツダも困惑を隠しきれない。丸本副社長は「外部環境に左右されにくい強靭な企業体質を目指す」と話すが、日本、メキシコ、タイなど限られた拠点での集中生産で収益性を高めるマツダにとって、抜本的な戦略変更は難しい。

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