現地取材で分かった「反トランプ」の異常熱気 これはよくある普通のデモじゃない

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家業であるメキシカンレストランの経営から出発し、パサディナに銀行やスターバックスなどのテナントの入っている商業ビルをいくつか所有するに至るまで不動産業を拡大してきたパム。事業家として成功した彼女も、オバマケア廃止に断固反対する。

「私の収入は、オバマケアを利用するには高すぎる。でもオバマケアがなければ、私はいくら大金を積んでも決して医療保険に入れなかった」という。一体どういうことだろうか。

「トランプの口約束は信用できない」

交通事故により、路上で車にはねられ、重傷を負った彼女は、九死に一生を得た。だが、重い後遺症が体のあちこちに残った。弁護士を雇い、医療費を相手ドライバーに請求する際に、病院からの証明書も提出した。つまり、後遺症の記録が裁判で公となったわけだ。その後遺症の詳細な記録が原因で、すべての保険会社から、医療保険の加入をことごとく断られた。

「オバマケアで、後遺症や持病を理由に被保険者を保険から締め出してはいけないという法律ができたことで、初めて私は医療保険を買うことができた。オバマケア以前は、私はすでに事故で死んでいて当然の人間で、今後生かし続けるに値しないポンコツの身だとすべての保険会社から判断されていた」

トランプは持病や後遺症のある人でも保険購入の際、差別されないという条項を今後も存続させると発言しているのだが……。「そんな口約束、信用できない。身体障害者のまねをして、バカにし、さらし者にした彼が、後遺症のある人間の利益を優先するとは思えない。自分の確定申告の記録すら、公表すると言っておきながら現実には公表していないのに」。

サインの「ROAR」は、大きな声で訴えるという意味(筆者撮影)

カリフォルニア予備戦では、バーニー・サンダースに投票し、本選ではヒラリーに投票したグロリアとパム。ふたりとも、政治デモに参加するのはこれが初めてではない。地球の気候の変化や、LGBTの権利、公民権などの項目の記載が、トランプ就任後、ホワイトハウスのホームページの「イシュー」ページから削除されたことに、彼女たちは怒っていた。

「もし自分が今テキサスあたりに住むゲイの少年だったら、恐怖を感じるはず」とグロリアは言う。「NASAが証拠を提示した地球の気候の変化すら、虚構だと言い張るトランプ。いま、キーストーンXLパイプラインを力ずくで通そうとしているけど、ネイティブアメリカンたちが体を張って守ってきた自然環境をぶちこわすのは許せない」とパムは言う。

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