スティグリッツ氏警告「トランプは危険人物」

「米国経済がトラブルに陥るリスクは高い」

ジョゼフ・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)/1943年生まれ。クリントン政権の大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行上級副総裁などを歴任。2001年、「情報の経済学」に関する研究でノーベル経済学賞を受賞。行動する経済学者としても知られ、世界各地を巡りながら経済の現状を冷静に分析する。近著に『ユーロから始まる世界経済の大崩壊』(徳間書店)。(筆者撮影)
世界に驚きを与えた米国大統領選挙。当選後のトランプ氏が過激な発言を控えていることもあり、市場は平穏を取り戻したかのように見える。しかしそれはどこまで続くのか。トランプ就任が世界経済に与える影響をどうとらえればいいのか。「週刊東洋経済」では、2001年にノーベル経済学賞を受賞し、米国を代表する経済学者であるジョセフ・E・スティグリッツ氏に緊急インタビューした。
スティグリッツ氏は「トランプは非常に危険な人物。米国経済がトラブルに陥るリスクはかなり高い」と警告する。
(一部敬称略)

アドバイザーに経済学者はせいぜい1人

――ドナルド・トランプ次期大統領が掲げる政策をどうとらえていますか。

同氏の主張には根本的な問題がある。歳出を増やす一方で、全所得層への減税を実施し、米国政府の予算を均衡化すると言うが、三つを同時に行うことはできない。

守れない公約をするという意味で、彼はポピュリスト(大衆迎合主義者)のレッテルを張られてきた。公約の多くを破ることになるだろう。

──全所得層への大幅減税についてはどう思いますか。

富裕層が最も恩恵を受け、富める者がさらに富み、格差が拡大するだろう。

連邦最低賃金を(10ドル以上に)上げるとも主張しているが、これも実現不可能なことを公約している。引き上げてくれればいいとは思うが、共和党は反対の立場を取っている。トランプは、共和党が異を唱える多くのことを公約している。

そもそも共和党は、昔から行いが一貫しておらず、誠実でない。たとえば、民主党が政権を取ると財政責任を求めるが、自分たちが与党に回ると支出もいとわない。レーガン大統領は、歴代大統領の中で最大の連邦債務を作り、ブッシュ前大統領も莫大な債務を積み上げた。トランプ政権も、そうなるだろう。

私が知るかぎり、彼のアドバイザーはヘッジファンドやウォール街の関係者ばかりで、経済学者はせいぜい1人。彼の周辺には経済システムを理解する人がいないのだ。株式取引や投機売買なら知っているかもしれないがね。

次ページTPP離脱は是か非か
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
JR九州“脱鉄道”の成算

今年、上場を果たしたJR九州。豪華寝台列車「ななつ星in九州」は話題になった。しかし、人口減少などもあって鉄道事業の先行きは暗い。成長は非鉄道事業の成否に懸かっている。