「アップルOB」がやたら集まる新興企業の正体 社員の6割以上がアップル出身

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米シリコンバレーにある新興企業、パール・オートメーションにはアップル出身者が数多く勤めている (写真:Anthony Cruz/The New York Times)

ブライアン・ラティマーは昨年5月まで、アップルのトップシークレットを守る仕事をしていた。

たとえば、2010年にアップルのエンジニアがiPhone4の試作品をバーに置き忘れた事件の後、ラティマーは試作品を追跡し、取り戻し、破壊するシステムを構築した。さらに海外のサプライヤーからの情報リークを防止するため、生産ラインをシールドし、情報をコンパートメント化する方法を指導する仕事もした。

ただしラティマーは、自分が守っているトップシークレットの内容は知らなかった。アップルでは、業務の遂行上知る必要がある人間にだけ、必要な範囲でしか情報を知らせないという、徹底した秘密主義が貫かれている。ラティマーは、同僚と仕事について話すこともやめるよう指導されていた。

彼が今務めるパール・オートメーションとは大違いだ。

社員80人中50人がアップル出身

パールは、アップルでiPodとiPhone開発チームのシニアマネジャーだった3人が2014年に設立した会社で、ハイテク自動車用アクセサリーをつくっている。3人は、品質と美しいデザインへのこだわりなど、アップルのカルチャーの優れた部分を取り入れる一方で、極端な秘密主義や徹底的なトップダウン経営は意識的に排除することにした。

パールでは、全スタッフが集まるミーティングが毎週開かれる。そこでは経営陣が、新製品から会社の財務、技術的な問題、さらには取締役会へのプレゼンの内容まで、ありとあらゆることを説明する。

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