東京で道路よりも鉄道が発達した3つの理由

4割が未完成「東京の伸びしろ」は道路にある

道路の真上に建設された首都高速道路の高架橋。谷町JCT付近(筆者撮影)

東京は不思議な都市だ。世界屈指の巨大都市にまで発展したのに、鉄道と自動車交通の状況に大きなギャップがあるのだ。東京が「電車で移動するのはきわめて便利なのに、クルマで移動するにはあまりにも不便」というアンバランスな街であることは、都内で自動車を運転したことがある人ならおわかりだろう。

そう、東京はドライバー泣かせの都市なのだ。この街の道路網は覚えにくく、見通しが悪いT字路やクランク、一方通行、右折禁止の交差点のように、まるで自動車交通を拒むかのような構造や規則が多数存在する。

いっぽう、東京ほど電車が便利な都市は日本にはもちろんないし、海外にもないだろう。そのことは、国内外の各都市と東京の鉄道路線図を見くらべれば一目瞭然だ。東京の鉄道網は市街地のあらゆる場所をカバーしており、移動手段として便利である反面、鉄道路線図をJR・地下鉄・民鉄各社で分けないとわかりにくいほど範囲が広く、複雑で、密度が高い。

道路の歴史から鉄道の歴史を読み解く

このような鉄道の発達ぶりは海外でも知られている。たとえば米国CNNの日本語公式サイトは、「東京が世界一魅力的な都市である50の理由」(2014年1月1日付)という記事のトップで「世界最先端の鉄道」を挙げ、電車の便利さを紹介している。ではなぜ、東京では鉄道が便利になり、道路が不便になったのだろうか。その理由は、鉄道よりも道路の歴史から探るほうがわかりやすい。道路の資料には、都市計画に関連する話や、鉄道の資料で述べられていない話が詳しく記されているからだ。

筆者は、この理由を道路や都市計画の視点で探り、拙著『東京道路奇景』に記した。この書籍では、東京の道路が織りなす奇妙な風景を「東京道路奇景」と呼び、それができた歴史的背景をたどりながら、東京という都市の「伸びしろ」を探った。その結果、あえて鉄道から離れることで、鉄道が特異的に発達した理由に迫ることができた。ここでは、『東京道路奇景』の中から、東京で鉄道が発達した主な理由を3つ紹介しよう。

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