北陸新幹線「小浜・京都」案は本当に最善か 工事や建設費で他ルート再浮上の可能性は?

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北陸新幹線の敦賀-大阪間については、与党の検討委員会が小浜-京都ルート採用の方針を固めた(撮影:尾形文繁)

北陸新幹線は現在、高崎駅と金沢駅との間の345.5キロメートルで営業中だ。金沢駅から先については、敦賀駅(福井県)との間の125.2キロメートルが鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)によって建設されており、2023年春の開業を目指している。

敦賀駅からさらに西の区間にも整備計画が立てられており、北陸新幹線は東海道・山陽新幹線の新大阪駅までの延伸が確定済みだ。この区間では小浜・舞鶴・京都ルート、小浜・京都ルート、米原ルートの3ルートが候補に挙げられてきた。

国土交通省は11月11日、「北陸新幹線敦賀・大阪間のルートに係る調査について」と題し、3ルートを比較する際の指標を発表した。与党は12月7日に開催した検討委員会(委員長・西田昌司参議院議員)で小浜・京都ルートの採用をほぼ確定させ、14日には同ルートが適切とする中間報告書をまとめ、事実上の決着を見た。20日に予定されているプロジェクトチームの話し合いの場で正式に決めるという。

3ルートの長所と短所を改めて比べると・・・

国土交通省の資料を見ると、3ルートには一長一短があり、与党の検討結果のとおり小浜-京都ルートが有利とはいうものの、その差は少ないと筆者は考える。建設費、そして敦賀-新大阪間の所要時間や運賃・料金、総便益を総費用で除した数値(費用便益費、B/C)という観点から改めて比べてみよう。

建設費は米原ルートが約5900億円と最も安いうえ、B/Cも2.2と3ルート中最大だ。だが、このルートは米原-新大阪間を建設しないため、この区間をどのように移動するかという問題点が残る。北陸新幹線の列車を東海道新幹線に乗り入れさせようにも、同区間を平日に毎日運転される東海道新幹線の営業列車の本数は下り128本、上り127本の計255本。営業列車は下りが平均8分26秒おき、上りは平均8分30秒おきと、大都市圏の通勤電車並みの運転頻度だ。

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