北陸新幹線開業で浮き彫りになる新潟の苦悩

連携構築しづらい「大きな1人っ子」

新潟駅ホームに入線する上越新幹線「とき」

北陸新幹線開業が世間の耳目を集める中、危機感を強めてきたのが新潟県や新潟市だ。1982年の上越新幹線開業から33年。「フル規格新幹線」、つまり在来線に乗り入れない新幹線が走る地域としては日本海側で唯一の存在だった。

しかし、北陸新幹線開業に伴って県内の移動コスト上昇や利便性低下に直面しているうえ、北陸新幹線沿線の上越地域とそれ以外の地域との時間的・心理的距離が離れる危険性もはらんでいる。本州の真ん中に位置し、大きすぎるがゆえに置き場所が定まりにくい「1人っ子」の新潟県。今後、2本の新幹線の間で、どんな将来像を描いていくのだろう。

県内で使える割引切符もなくなる

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「北陸新幹線が開業してから、新潟市と上越市は時間距離もコスト距離も遠くなった。北陸新幹線の運営は主にJR西日本が担う。上越新幹線と新潟県内の在来線はJR東日本、そして、信越本線から経営分離された『えちごトキめき鉄道』は第三セクターとばらばらに。JR東日本が新潟県内に設定していた各種の割引切符もなくなり、地域間の移動に制限が設けられた感が強い」

新潟市の会社役員、長谷川克弥氏は開業から半年の印象を語る。新潟・群馬・長野3県の連携に取り組む「上信越トライネット推進協議会」の会長や新潟商工会議所・国際貿易委員会の副委員長を務め、広域的な視点から新潟県の立ち位置を俯瞰してきた。鉄道の運営主体が分散した上、料金が割高になった現状に不安を隠さない。

鉄道網でみると、新潟市のある下越地域や、長岡市を中心とする中越地域は、上越新幹線で首都圏とつながっている。そして、これらの地域と、上越市・糸魚川市など上越地域を結んでいたのが、上越新幹線・越後湯沢駅と北陸地方を1日13往復していた在来線特急「はくたか」だった。

だが、「はくたか」は北陸新幹線開業に伴って廃止された。今年3月まで新潟市と金沢市を直結していた特急「北越」5往復は、新潟市と上越市などを結ぶ特急「しらゆき」5往復に移行したものの、新潟市と上越地域を結んでいた快速列車「くびき野」3往復も廃止された。優等列車ベースでみると、下越・中越地域と上越地域を結ぶ列車は、21往復から5往復へ激減した計算になる。

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