松下幸之助「派閥をつくる会社はダメになる」 経営の神様が問わず語りに語ったこと

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松下幸之助が考える、「経営がうまくいった理由」とは?
江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

派閥を作らず、みんなで力をあわせ

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経営がうまくいった理由のひとつは、会社のなかに派閥を作らんかったということやろうな。

とにかく、学閥とか、あるいは、ようあるやろ、社長派とか専務派とか、そういうものも作らんかったし、作らせんかった。そういうものは社内に対立を生み出すばかりではなく、会社全体の力を分散させることになるわね。全員で一丸というところを、派閥があればそれが出来ん。

知恵を集めて仕事を成功させようとしても、派閥があれば、その知恵も十分に集められんということになる。そんなことでは、激しい競争に勝てるわけがないやろ。うちの会社が成功したとすれば、派閥を作らず、みんなで力を合わせたからや。

それから、ガラス張りで経営をやったというのも、よかったかもしれんね。わしはな、会社の社員が十数人の、まあ、個人経営のときから、毎月の決算を社員に公開してきた。今月はこれだけ売れた。これだけ儲かったということを、従業員諸君に知らせてきた。個人経営やから、そんなことをする必要もなかったけど、社員が力を合わせて、出した成果や。はっきりと知らせなければ、あいすまんと思った。

それで、みんなで努力した成果は、こういうことですよと、知らせてきたんやけど、それが社員諸君に非常な励みになった。みんなが、さらに一生懸命働くことになったんや。そこまで、わしは考えてへんかったけどね。そういうことで経営の成果を公開すると、社員が、それはよかった、来月も頑張ります、と言うようになった。

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