東芝と日立、なぜ両巨艦の明暗は分かれたか

世間が決める「成功」にとらわれるな

出世競争が生きがいの、煩悩の強い人が偉くなる会社では…(撮影:尾形文繁、今井康一)
世の中には会社を腐らせる病がある。それは一見、会社と関係ない組織にも起きる。著書『有名企業からの脱出 あなたの仕事人生が“手遅れ”になる前に』を上梓した経営共創基盤CEOの冨山和彦氏が本質を読み解く短期集中連載。最後の第4回は不正会計問題で窮地に陥ってしまった東芝と、かつての不振から復活した日立製作所の「明暗」を考える。

 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない

人間は、見たい現実を見たい生き物です。これは、まさにカエサルの言うとおりです。人間の本性。放っておいたら、見たいものしか見なくなる。だから、そう思って経営者は経営をしないといけないし、社員は仕事をしないといけない。みんな変わりたくないのです。しかし、長きにわたってうまくいく人は、自分を変えていくのです。

見たい現実を見るというのは、もっと正確にいうと、見たい現実に従ってしか人間は行動できない、ということです。だから、世の中の変化についていくというのは、簡単ではないのです。ましてや組織になると、もっと不器用になる。

会社には、入ったばかりの新卒もいます。ぶら下がって食べている人もいる。そこで「もうこれからはいっさい、モノは作りません。ファブレスカンパニーになります」と言った瞬間に、「去年入った生産分野の若手社員はどうするんだ。仕事がなくなる」などということになる。

それで「とりあえず続けるしかないな」となってしまう。この“とりあえず”を10年、20年放置すると危ない。なぜなら、世の中は変わっているから。決断を先送りにしたばかりに、もっとメガな悲劇が起きかねないのです。重要なのは、リーダーの先見性です。放っておいたら、20年後に総玉砕してしまいかねないのが、現代なのです。このまま行ったら危ないと判断できるかどうか。

もちろん難しさは別のところにもあります。あまり言いすぎるとリーダー自身が追い落とされてしまいかねないからです。抵抗勢力に滅ぼされてしまう。ただ、そうなったとしても結局、20年後に待っているのは悲劇です。

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