福島原発、終わりのない「水」との戦い 〈現地ルポ〉廃炉への遠い道のり(上)

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東京電力が6月11日、報道陣に福島第一原子力発電所の現場を公開した。報道陣への公開は今年3月以来となる。その取材内容をレポートする。

取材の焦点はまず、汚染水への対応状況。福島第一原発では、地下水の流入により1日当たり400立方メートル(=400トン)の汚染水が発生しており、増え続ける汚染水の問題が廃炉を進めていくうえで最も深刻な課題となっている。この汚染水の発生をいかに減らし、貯蔵し、浄化していくかだ。

4号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しの準備状況も焦点。1~4号機の廃炉に向けた実施計画である「中長期ロードマップ」では、4号機の燃料取り出し開始までが第1期とされており、今年11月の開始予定に向けて作業が順調に進んでいるかだ。

原発へ向かう途上、楢葉町や富岡町の現状は…

6月11日午前8時、集合場所のJヴィレッジでまず各自の取材前の内部被爆線量をホールボディカウンターで測定(取材後も測定)。その後、取材スケジュールや積算線量計など装備品の説明を受け、カメラ、ICレコーダーなど機材養生(ラップなどで包装)を行う。

福島第一原発から約20キロメートル、福島県双葉郡の楢葉町と広野町の町境にあるJヴィレッジは、もともと1997年に開設された日本最大規模のサッカートレーニング施設。が、東日本大震災後は事故収束作業の拠点として、出資者でもある東電が利用している。施設からは大勢の作業員が続々とバスに乗り込んでいく。建物内には作業員に対する全国からの励ましの寄せ書きや千羽鶴が数多く飾られていた。

9時20分にJヴィレッジをバスで出発し国道6号を北上、楢葉町と富岡町を通り大熊町にある福島第一原発へ向かう。車中では通常のマスクと綿手袋、靴カバーの簡易な装備。Jヴィレッジでの空間線量は毎時0.9マイクロシーベルトだった(東京都心の線量は毎時0.05マイクロシーベルト前後)。

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