銀行員が勧める金融商品の9割がダメな理由 あなたの大切な貯金を少しでも増やすには

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1. 売りやすさが重視される

銀行員が提案する商品は、「お勧めしやすい」商品であって、それが「良い」商品だとは限りません。

最近は変化の兆しもありますが、基本的に銀行の営業担当者は金融商品の販売実績で評価されます。どんなに質の高いアドバイスをしても、売れなければ評価されません。したがって、できるだけ多くの金融商品を買ってもらいたいと考えることになるので、「お勧めしやすい」ことが重要なのです。

例えば、投資信託であれば、「マイナス金利だから」「インフレに備えるために」「これからはロボット社会だから」「オリンピックが開催されるから」「毎月**の分配金がもらえるから」など、その時の流行りのテーマや新商品、高い分配金など、お客様の興味を惹きそうで、お勧めしやすい商品を紹介することになります。

保険であれば「×年預けておくと元本は確保されますよ」、仕組み債であれば「金利が×%もつくから」などと言って紹介されます。

営業担当者が熱心なのは「お客様のため」とは限らない

お客様に連絡しても話すら聞いてもらえないこともある営業担当者の立場としては、いかに多くのお客様に耳を傾けてもらえるかが重要です。

営業担当者が熱心に連絡してくるのは、「お客様のためを思い、良いアドバイスをして喜んでもらいたいから」ではありません。「商品を買ってもらい、営業成績を上げたいから」です。

資産運用の結果は、5年後、10年後にならないとわかりません。しかし、営業担当者は転勤もありますし、販売目標も毎月、四半期、半年など、短期間で管理されています。志の高い営業担当者が5年後、10年後までお客さまをサポートしたいと考えても、それは叶いません。

本来、良い金融商品には流行り廃りはないのですが、実際にお客様に提案されているのは、お勧めしやすい商品ばかりになってしまうのです。

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