銀行員が勧める金融商品の9割がダメな理由 あなたの大切な貯金を少しでも増やすには

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2.商品が複雑すぎる

本当に価値のある金融商品はシンプルなはずです。しかし、売り手からすると、シンプルだと、他の商品と比較されやすくなります。コストや運用結果が一目瞭然です。しかも、商品の違いや特徴を強調してアピールできないと販売しにくいのです。

また、商品が複雑であればあるほど、リスクの大きさや損益の要因が分かりにくくなります。例えば、毎月分配型投資信託の仕組みをどれだけの人が正しく理解できているでしょうか。他にも、「通貨選択型ファンド」や「トリプルデッカー型ファンド」「仕組み債」など、デリバティブを用いた複雑な商品が多数売られています。

これらは手数料がとんでもなく高く設定されている上、仕組みが理解できなければ、もし金融危機が発生した場合、どのくらい損をするのか、どのような影響があるのか、分かる訳がありません。取り返しのつかない大失敗をしないためにも、商品の仕組みが理解できない商品は利用すべきではありません。

3.コストが高すぎる

同じ金融商品でも、実は買う場所(金融機関)や方法によって手数料が違います。場合によっては、2倍3倍と違うこともあります。しかし、多くの人はそれに気づかないまま取引をしているのです。

もちろん、金融機関も営利企業なので、高い手数料を受け取れる金融商品を販売すること自体は、非難されるべきではありません。しかし、銀行が稼ごうと思うほど、当然お客さまの手数料負担は重くなります。コストが安くお客さまにとってメリットある商品は、銀行では紹介してもらえない可能性が高いということは認識しておくべきでしょう。

勧誘に乗らず、コスト重視&シンプルな商品の利用を

特に毎年継続的にかかるコストについて、私たちはもっと意識しておく必要があります。

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同じような成果が期待できる商品でも、負担するコストが10倍近いこともあります。

実際に筆者がFPとして相談を受けていると、金融機関のアドバイス通りに資産運用していて毎年毎年3~5%のコストを間接的に負担させられているお客様は非常に多くいらっしゃいます。

資産運用におけるリターンを改善する唯一確実な方法は、コストの削減です。銀行員のお勧め通りの方法で毎年3〜5%のコストを負担していたら、おカネなど増やせるはずがありません。

もちろん低コストが全てではありません。しかし、年間何十万円もの高いコストを負担し続けることに見合う価値の高いサービスを、銀行から本当に受けているのか、考え直す必要があります。

銀行員のお勧めの通りに資産運用をしていると、おカネを効率的に増やせません。コストを重視して、シンプルな商品の利用を心がけましょう。

高橋 忠寛 ファイナンシャルプランナー

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たかはし ただひろ / Tadahiro Takahashi

株式会社リンクマネーコンサルティング代表取締役。メガバンクと外資系金融機関で10年超の銀行勤務。法人営業や資産家向け相続ビジネス、資産運用コンサルティング業務などに従事。独立後は投資助言代理業者として、金融商品の販売には関わらない完全に独立した立場で資産運用を中心に、資産管理についての総合的なアドバイスを提供。CFP®、日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術』(日本実業出版社)など。

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