闘将の「負けてもブレない」マネジメント術 ロンドン五輪サッカー代表監督 関塚隆氏に聞く

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選手たちがうまく機能したのが、初戦のスペイン戦でした。スペイン代表は、ワールドカップ優勝、ユーロ連覇を達成し、オリンピックの世代でも21歳以下の大会でヨーロッパを制した実績が豊富な世界一といってもいいチームです。このチームに勝利できたのは、オリンピックの戦いにおいてとても大きなことでした。

厳しい闘いの中でどうチームを作り上げていくか

最終的には4位という結果でしたが、オリンピックという真剣勝負の舞台で、3位決定戦までの6試合を戦うことができました。そこから見えてきたものは選手にとっても、わたし自身にとっても、大きかったと思います。

(C)J.LEAGUE PHOTO

世界の厳しい試合の中で、どうゲームを作り上げていくか。心理的な面での重要性もあらためて気づかされました。

コーチングスタッフとの和を大事にしながら、選手が躍動感あふれるプレーをし、感動を与えるサッカーを構築する。関塚氏は監督としての理想像をこう語る。

リーダーにはタイプがあるので、自分にあったリーダー像を見つけ出すのが大事だと思います。わたしもいろいろな監督、上司と出会ってきましたが、理想の上司であっても自分がそうなれるとは限りません。

自分らしさを失ってリーダーになったらうまくいかないと思います。

わたし自身は、コーチングスタッフとの和を重視するマネジメントを意識しています。わたし一人の意見を押しつけるより、みんなの意見を吸い上げながらチーム作りをするのです。

選手は監督とうまくいかないと必ずコーチングスタッフに話に行きます。そのときにコーチングスタッフと監督が一枚岩になっていなくて方針がぶれていれば、選手は方向性を見失ってしまいます。

コーチングスタッフも含めてぶれないマネジメントは、わたしが曲げたくないポイントですね。

選手たちが躍動感のあふれるプレーをし、見ている人たちに感動を与えられるサッカーをやっていきたい。そして、チームが勝つことと人を育てることを、両立してやっていきたいと思っています。

これがわたしの描いている監督としての理想像です。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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