役員との年収格差が小さい「東京都300社」 1倍未満は54社、業績連動のシビアさ映す

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上場企業の半分近くが東京都に本社を置く(写真:gandhi / PIXTA)

東洋経済オンラインは、上場企業の役員報酬の平均額と従業員の平均賃金の格差に注目。地域ごとの傾向も併せて比較するため、本社所在地で見て全国7地域別(北海道・東北、東京除く関東、東京、中部、近畿、中国四国、九州沖縄)のランキングを作成した。

第1弾として9月22日に配信した「社員と役員の年収格差『東京都トップ500社』」には多方面から反響が寄せられた。欧米ほどではないにしても、日本でも徐々に役員報酬の高額化が進んできている実態に驚いた読者も少なくないだろう。今度は同じ東京都に本社を置く企業の中で、社員と役員の年収格差が「小さい」会社のランキングを公表する。

倍率で表した「年収格差」は役員が従業員の何倍の年収を得ているかを示した。直近の有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)を基に、東洋経済が独自に算出した「平均役員報酬」を、単独従業員の平均年収で割って算出した。ランキングの役員平均年収は独自に算出した金額ではあるが、社員の給与より役員の報酬が少ない会社もあり、400万円に満たない会社も31社あった。

役員平均報酬は社内取締役と執行役の平均額で、監査役や社外取締役の報酬額は含んでいない。定額部分と業績連動部分、退職慰労金の全てを合算した金額を用いている。単年度の報酬額から算出しているので、在任期間が長かった取締役の退任があると退職慰労金の額が膨らむため、例年に比べて平均値が高い会社もある。

業績低迷企業が上位に並ぶ

これらの上位に並んだ会社は業績が低迷している企業が多い。企業の継続性の懸念から継続疑義の前提に関する注記を記載している会社も目立つ。

ランキング1位のジェイホールディングスは、不動産事業とWEB事業を行う企業。年収格差は0.1倍だ。ランキングの基準で計算すると、役員平均年収は33万円と従業員平均年収540万円の10分の1にも満たない。同社は継続疑義の注記が記載されていて、直近4年の純利益は赤字に沈んできた。

同じく年収格差0.1倍は21LADY。「洋菓子のヒロタ」やインテリアショップ「イルムス」を連結子会社に持つ。役員平均年収を計算すると50万円となった。継続疑義の注記が記載されており、長らく赤字体質から抜け出せずにいる。

日本企業であっても、業績が好調であればうらやむほどの役員報酬をもらう例も増えているが、社員の給与に比べて格段に変動が激しい。業績連動報酬の導入企業の増加は、たとえ高額報酬をもらっている役員であっても、業績が低迷すればその分の見返りが減少することを意味する。この点で役員は社員よりもシビアな立場にある。

本社所在地が東京都の調査対象企業は合わせて1811社。役員の平均年収が社員のそれを下回る(年収格差1倍未満)は54社だった。 

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