この夏、あなたはどれぐらいのボーナス(賞与、一時金)をもらっただろうか。昨年夏から比べて増えた人、減った人――。業種・業態や企業ごとの事情などによってさまざまだろう。一部の規制産業を除いて、多くの企業が激しい競争にさらされる中、同じ会社にずっと勤めていても今の給与水準が保てるとは限らない。
東洋経済オンラインは、主要な上場企業が過去10年にわたってどれだけ従業員の平均年収を増減させたかを調査。全国のトップ500社、ワースト500社に続いて、本社所在地で見て全国7地域別(北海道・東北、東京除く関東、東京、中部、近畿、中国四国、九州沖縄)のランキングを作成した。東京都に本社を置く企業のうち、増加が大きかったトップ500社に続いて、今回は10年前から平均年収が20万円以上減ったワースト300社のランキングを紹介しよう。
平均年収減少額は10年以上前から上場し、平均賃金を継続して公表している企業を集計の対象にした。ただ、単体の従業員数が30人に満たない小規模な企業や、本社の中枢を担う社員しかいないケースが多く、給与水準が製造現場などの実態とかけ離れやすい純粋持ち株会社などは原則として除いた。約3600社の上場企業すべてを網羅している『会社四季報』(2016年夏号発売中)で集計しているデータを活用した。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。
ワースト1位は325万円のダウン
東京都内に本社を置く上場企業で、平均年収減少額が最大だったのはファステップス。10年前から325万円下がり、直近は361万円となっている。東京・新宿に本社を置く携帯電話ネット技術のシステム構築会社だ。広告代理子会社の売り上げ比率が高いのが特徴で、ここ数年は赤字を連発し、財務基盤を傷めてしまったことが平均年収減につながったとみられる。
全国的に有名な企業で上位にあるのは5位のタカラトミー、12位ゴールドウイン、17位川崎汽船、24位コーセー、25位コスモスイニシア、35位帝国ホテル、50位不二家などだ。
平均年収の減少額が大きい会社は、業績不振からリストラや事業譲渡などを進めたケースが少なくない。また、非正規雇用の正社員化などが影響している会社もある。本ランキングの集計対象となった東京都に本社を置く上場企業は1094社。このうち663社が平均年収を増やし、431社が減らした。平均年収が200万円以上下がったのは10社、100万円以上は62社だった。