代表選前夜、蓮舫氏に吹いた強烈逆風の正体 国籍問題は現執行部への批判にも発展

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「蓮舫代表代行の国籍問題について」と題した文書には、蓮舫氏と同じ東京都連に所属する木内孝胤衆院議員、長島昭久衆院議員、初鹿明博衆院議員、松原仁衆院議員が名前を連ねているのが興味深い。

常任幹事のひとりで、同文書に名前を連ねた篠原孝衆院議員はこう述べる。「まずは15日の代表選の前に開かれる常任幹事会で、この問題を取り上げてほしい。代表選規約に、代表候補者が候補として相応しくない行為を行った場合には、代表選管は常任幹事会に諮ることができるとしているからだ。そして執行部には国民に説明する声明を出してほしい。政府や与党の問題についてはすぐ見解を出すのに、自党のことになると沈黙するのはなぜなのか」。

執行部に対する不信は地方にも

その他にも厳しい見方が広がっている。ある議員は地方議員への電話がけの際に、反応が急変したのが感じられたという。「最初は蓮舫氏に堅固な支持があった。それがここに来て、非常な危機感、そして執行部に対する不信感になっている。13日に蓮舫氏が釈明したことで、問題が終わったわけではない。これからが始まりだ」。

実際にこれを奇貨として、自民党が急速に動き出しているという話も耳に入り始めたという。「二階俊博幹事長が12月16日投票説を流し、茂木敏充政調会長が年明け選挙を流布しているとの話が入っている。古屋圭司選対委員長も5月に予定されている最高裁判決前の解散総選挙をほのめかしたらしい。自民党は民進党の最も弱いところをついて、勝負をかけてくるだろう」。

もともとはそうした与党に抗うために、党の再生を訴えるはずだった民進党。しかし現執行部は知事選では世論調査で最も知名度が高かったジャーナリストの鳥越俊太郎氏を擁立したが、獲得したのは135万票で、小池百合子氏が獲得した291万票の半分以下しか得票できなかった。今回の代表選では安易に「女性政治家の時代」に乗るべく擁立した蓮舫氏に国籍問題が露呈し、かえって混乱を生じている。今回ばかりは「代表選後はノーサイド」とはいかなくなりそうだが、現執行部はこれに沈黙したままだ。

いずれにしろ、民進党の新代表は15日午後に選出されるだろう。しかし、民進党に明るい未来が開けるようにはみえない。
 

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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