民進党代表選候補の「経済政策」を総チェック 結局、日本経済「最大のリスク」とは何なのか

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民進党代表選に出馬した3人。それぞれの経済政策の考え方を確認しよう(撮影:尾形文繁)

安倍政権になって以来、連立与党は4度の国政選挙で勝利を収め、依然内閣支持率は高い。アベノミクスに対して批判的な見方も根強いが、金融緩和政策で経済活動が上向きに転じたことを多くの国民が支持しているというのが素直な理解だろう。次の衆議院選挙のタイミングは不明だが、安倍政権の基盤は揺るがず、日本の政治が変わるフシ目は、すでに報じられている通り安倍首相の自民党総裁任期変更がどうなるかになりそうだ。

なお、2019年に消費増税が予定されており、その決断は2018年になると予想されるが、これはデフレ脱却が完全に実現するかどうかの経済情勢次第だろう。増税がなくても金融緩和を強化してデフレ圧力が和らげば財政赤字が減少することを官邸は理解しているため、2014年の増税という失政の二の舞にはならないと筆者は予想している。

確認したい民進党党首候補の経済政策

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一方、政治の世界は何があってもおかしくない。現段階で自民党政権が揺らぐシナリオは想定しがたいが、日本の選挙制度では案外容易に短期間で政権交代は起こりうる。2012年末の政権交代以降、アベノミクス効果で経済と金融市場は一変したが、マクロ経済政策が政権次第で大きく変われば金融市場に直結するので、投資家の観点から極めて重要である。安倍政権が長期化し、また経済最優先の姿勢が変わらない限り、日本経済の下振れリスクはかなり限定的とみている。あえてリスク・シナリオを挙げれば、なんらかの政治要因で、アベノミクスが頓挫することだろう。

民進党の代表選の候補者が出揃った。仮に政権交代が起きれば、政権を担う可能性が高いのは野党第一党の民進党であり、その党首が経済政策をどのように考えるかは、確認する必要がある投資判断材料の一つである。過去20年も低成長とデフレが続いてきたことを「経済失政」と認識し、基本的な経済理論に基づき経済安定政策を行う強い意志を持つ政治勢力が与野党に広がることは、将来の日本経済や金融市場にとって大事である。日本経済や金融市場にとって最大のリスクは、人口減少や高齢化ではなく、経済安定策のかじ取りを再び間違えることだと筆者は認識している。

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