ウォシュレット、独老舗と組み欧州攻める TOTO、初の相手先ブランドで供給

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なお、今回のOEM生産のために、TOTO側で新たな投資はほとんど必要ないという。TOTOはウォシュレットを国内工場のほか中国、マレーシアで生産しているが、販売先の国ごとで異なる規格に対応できる基幹部品の共通化が進んでおり、安全基準の厳しい欧州向けについても部分的な調整だけで済む。「それがなかったらV&BへのOEMの話もたぶんなかった」(張本社長)。

フタや便座については相手先デザインを基に新たに型を起こす必要があるが、それ以外は標準的なものが使え、V&B側にとってもコストメリットが大きいからだ。

国内で月商1万台に育つまでに10年、欧州では

ただ、どのくらいのスピードで欧州での温水洗浄便座市場が広がるか、予測は難しい。

V&Bのバスルーム事業責任者のアンドレア・ファイファー氏は、ドイツの潜在市場として年間20万台、ヨーロッパ全体では同200万台程度と想定したうえで、「20億~30億ユーロぐらいの市場に育つポテンシャルがある」と予測する。ただ、そこに至るまでの時間軸は「10年くらい」とかなり長期戦の構えだ。

TOTOがウォシュレットを商品化してから、日本国内での販売台数が月1万台を超えるまでに要した歳月は実に10年。それを考えれば、ファイファー氏の予測も悠長すぎるとはいえないのかもしれない。

日本からの旅行者が欧州の訪問先で温水洗浄便座を確実に利用できるようになるには、まだ当分時間がかかりそうだ。
 

勝木 奈美子 東洋経済 記者

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かつき なみこ / Namiko Katsuki

環境・水処理機器、プラントメーカーなどを担当。現職はメディア編集部長

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