ウォシュレット、独老舗と組み欧州攻める TOTO、初の相手先ブランドで供給

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ただ、海外での普及はスムーズとはいえなかった。TOTOは、アジア地域では中国、台湾を中心にウォシュレットの販売台数を急速に伸ばしているものの、特に欧米市場への浸透は遅々とした状況だ。

V&Bの調べによれば、欧州ではスイスに本拠を置くゲベリット社が地元スイスで年間2万台程度、欧州全体で同5万台程度販売しているが、TOTOのウォシュレットが日本国内で月10万台売れる、という規模感に比べると微小だ。TOTOは欧州での販売台数を公表していないが、先行して販売を開始した北米でも現在の販売数は年間数万台にとどまっている。

もともと、シャワーとトイレが同室にあることの多い欧米の家庭では、安全上の理由などからトイレ近くに電気機器を置く習慣がなく、「トイレの話題そのものを忌避する」(TOTO)という文化的な背景の違いもある。それが特に北米では普及の足かせといわれてきた。

それでも、「北米に比べると、欧州の温水洗浄便座の普及スピードは速いのではないか」。TOTOの張本邦雄社長(写真)はそう読む。

欧州では北米よりも「ビデを使う」文化が根付いており、効能が理解されやすい面もある。実際、現在改装中のパリの五つ星ホテル数カ所で、全館にウォシュレット導入を決めるなど、北米とは違う動きが見られるという。

欧州では中国・韓国製が出回り始める

そうした潜在需要を先取りするように、欧州には中国や韓国などの「ウォシュレットもどき」(張本社長)の温水洗浄便座製品が出回り始めている。

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