日本のメディア報道への違和感
日本国内での政治的イメージという観点からすると、安倍晋三首相にとって2月22日のオバマ大統領との日米首脳会談は、大成功だった。
安倍氏は、国民との関係においても、また自民党内部でも、極めて重要な日米同盟にうまく対処できる人物として評価を高めることができた。安倍氏は、「ジャパン・イズ・バック」と力強く宣言し、強いリーダーというイメージを打ち出した。これまでの3年間、民主党政権が日米の同盟関係をぎくしゃくさせてきたが、自らが日米関係に信頼を取り戻した、と宣言したのだ。
日本の新聞も、安倍氏の訪米を好意的に評価した。記事で強調されているのは、日本がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する前提条件として、一方的にすべての関税を撤廃することを約束する必要はないことを認める発言を、安倍氏がオバマ大統領から引き出したことだ。
しかしこうした見方は、TPPに関する共同声明にのみ焦点を当てることで、首脳会談の全体像を誤って把握している。
実は、TPP参加への道を急ぐのは、安倍氏が望んだことではなかった。一方、米国政府は、TPPを優先事項としていた。そのため安倍氏としては、日米同盟が「戻ってきた」ことをはっきりと示すためには、TPP参加に向かう道を進まざるをえなかったのだ。
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