安倍訪米が”大成功”とは言えない理由 オバマ氏は安倍氏に距離を置いた

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
拡大
縮小
2月22日にホワイトハウスで会談した日米両首脳。日本のメディアでは「成功」の文字が躍ったが……(写真:The New York Times/アフロ)

日本のメディア報道への違和感

日本国内での政治的イメージという観点からすると、安倍晋三首相にとって2月22日のオバマ大統領との日米首脳会談は、大成功だった。

安倍氏は、国民との関係においても、また自民党内部でも、極めて重要な日米同盟にうまく対処できる人物として評価を高めることができた。安倍氏は、「ジャパン・イズ・バック」と力強く宣言し、強いリーダーというイメージを打ち出した。これまでの3年間、民主党政権が日米の同盟関係をぎくしゃくさせてきたが、自らが日米関係に信頼を取り戻した、と宣言したのだ。

日本の新聞も、安倍氏の訪米を好意的に評価した。記事で強調されているのは、日本がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する前提条件として、一方的にすべての関税を撤廃することを約束する必要はないことを認める発言を、安倍氏がオバマ大統領から引き出したことだ。

しかしこうした見方は、TPPに関する共同声明にのみ焦点を当てることで、首脳会談の全体像を誤って把握している。

実は、TPP参加への道を急ぐのは、安倍氏が望んだことではなかった。一方、米国政府は、TPPを優先事項としていた。そのため安倍氏としては、日米同盟が「戻ってきた」ことをはっきりと示すためには、TPP参加に向かう道を進まざるをえなかったのだ。

次ページオバマ氏とのすれ違い
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT