JR東日本特急から「自由席」が消えているワケ 「全指定席」化で車内改札などコスト高縮減へ

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全車指定席となった、高崎線の特急「スワローあかぎ」。通勤客に人気が高い列車であったが、車内改札の煩雑さがJR東日本にとっては重荷となっていた(写真: hide0714 / PIXTA)

JRの特急ではおなじみでも、私鉄の特急にはないものと言えば? 答えはいろいろあるだろうけど、「自由席」も、その一つだ。小田急や近鉄などの大手私鉄で、運賃とは別の料金を必要とする特急列車は、全車指定席が基本である。

だがJR各社では、たとえ新幹線であっても自由席がポピュラーな存在。若干の料金割引がある代わりに座席の保証もないという制度が、一般的に私鉄の特急より長い距離、長い時間を走るJRの特急列車に、なぜ存在するのか。

そして、JRの流れを押し返すかのように、最近のJR東日本の新幹線・特急列車では私鉄同様に全車指定席の列車が増えつつある。その理由は何であろうか。

1960年代の特急は全車指定席だった

日本の鉄道の開業以来、長距離列車にはもともと指定席はなかった。寝台車など特殊な例を除いて、これは戦前から戦後にかけての急行列車でも同じであった。初めて座席指定制度を導入したのは、1912年に新橋〜下関間に設定された「特別急行」。1・2等専用(当時は3等級制)の最優等列車にふさわしいサービスとして、座席の確保が打ち出されたのである。

そうした経緯もあって、急行は国鉄がJRとなっても自由席が編成の中心だった。一方、特急は1960年代、全国的に大増発されたが全車指定席が基本で、東海道新幹線の「ひかり」「こだま」も、運転開始当初は全車指定席であった。

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