スタイリスト「地曵いく子本」が"刺さる"理由 ズバズバ口調の「おしゃれ指南本」は写真なし

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キャリア30年超を誇るスタイリスト、地曳いく子氏におしゃれの極意を聞いた
あるベテランスタイリストの本が売れている。累計発行部数30万部の『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)は、タイトルのインパクトもさることながら、服を減らす具体策や「バリエーションは必要ない」など、従来の常識を覆す考えかたを提案して話題を集めた。今年5月に『着かた、生きかた』(宝島社)を出した著者の地曳いく子氏に、おしゃれの極意を聞いた。

 

――最初の著作は『50歳、おしゃれ元年。』(集英社)。これはどういう経由で生まれたのですか。

私は以前、雑誌で月100ページくらい手掛けるなど、スタイリストの仕事にも洋服にもすごく欲を持っていたのですが、いつの間にか何を買ったらよいかわからなくなり、これまでの洋服が似合わなくなってきたんです。

地曳いく子(じびき いくこ)/1959年生まれ。テレビ、雑誌等で活躍するキャリア30年超を誇るスタイリスト。数多くの女優のスタイリングを手がけ、「大人の女性のファッション」を提案している

昔だったら、男性も女性も落ち着いてしまう年齢かもしれないけれど、今の私たちには無理。そう思っているのは私だけかしらと思って周りに話を聞いたら、みな同じ思いを抱いていた。ファッション業界にいておしゃれ大好きな人たちですら迷っている。一般の人たちはどうなのかと、また何人かに話を聞いた。そうしたら、バブルを経験して洋服をたくさん購入してきた世代が、今は路頭に迷っているという感じで。だったら、ということで書きました。

――服を買うなら、捨てなさい』は、もっと広い読者層を対象としていますよね。

若い人に向けた本をということで、今度は20~30代の若い人にインタビューしました。今の若い人たちは、不況育ちで堅実だけど、昔と違って安く簡単に洋服を買えるでしょう。だから、30歳くらいでかなり服がたまっている。それこそ、昔はボーナス出たときしか買わないという感じだったのが、普段から気軽に買えてしまう。そのことがわかったんです。

みんなが思っていたことを書いているだけ

――インタビューやリサーチを重視している。

私は基本的にオタクなので、(属性やライフスタイルなどを)プロファイリングしたり、フィールドワークでインタビューすることをいとわない。電車に乗っているときも、前に座っている人の靴とか持ち物をずっと見ている。変な人だと思われているかもしれないけど(笑)、そのくせが役に立ってよかった。

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